先週、モスクワ中心部のコンサートホールでテロがあり、140名ほどの犠牲者が出た。多数の負傷者の中には重態の被害者もいて、今後死者の数は増える可能性が高い。イスラム国(IS)が犯行声明を出し、ロシア当局は実行犯4名を含む10余人を拘束して事件の全容解明(!)を急いでいる。確かに実行犯はイスラム教徒(タジク人)のようだが、ISの手口とは異なること(*1)も多く、背景に何があるかは謎のまま。
モスクワ・コンサートホール襲撃事件、4人を起訴 テロ行為の罪 - BBCニュース
プーチン大統領はこれを契機にウクライナへの攻勢を強めようと、ウクライナの仕業といい、場合によっては徴兵令などを出す構えだ。ただ確かに言えるのは、ロシア政府は戦時体制だとしながら、その実体制整備は出来ていなかったことだ。
まず、情報機関の失態がひどい。米国からテロの可能性を指摘されながら、無視したこと。大統領選挙妨害のいやがらせと思ったのかもしれないが、情報があれば探ってみるのが普通。選挙をカッコよくするためだけに、全精力を集中していたとしたら間の抜けた話だ。
次に死者の数が異様に多いこと。テロリストはAK系の自動小銃、手投げ弾、火炎瓶を使ったようだが、指向性地雷などのより凶悪な武器を使ったとの報道はない。これは重傷者が十分な治療を受けられず、病院への搬送中か病院に着いてから亡くなったケースが多かったのではなかろうか?
例えば輸血用の血や麻酔薬が足りず、医師の呼び出しも混乱して処置が出来なかった、遅れたという可能性だ。以上2点から、モスクワでは全く緊張感がなかったのだと、僕は思った次第。本気で闘うなら、これらの点に手を抜くはずもない。
しばらく聞くことのなかった「IS」という言葉、改めて世界中が認知したと思います。フランスでも、ISがテロを企画していたとの報道もありました。ウクライナもガザも紛争が収まる気配はなく、さらに戻ってきたテロ集団が加わり、国際社会の緊張は高まり続けています。
*1:カネで雇われた犯行で、自爆テロも敢行していない。4人が自爆もせず全員捕まるというのは奇妙