Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

7人の命が変えた「潮目」

 米国は、ずっとイスラエルを擁護してきた。国連安保理で再三出されるイスラエル非難、停戦要求の決議案を、ことごとく拒否権を使って葬った。これは、ロシアのウクライナ侵攻に対する非難決議を、ロシア自らが拒否権を使って阻んだことに重なる。ネタニヤフ政権の強硬姿勢がエスカレートする中、米国バイデン政権は国際政治の場で追い詰められていた。

 

 例えば、強権的手法で南アジアや太平洋諸国に圧力をかける中国と比較され、「いざとなれば米中どちらを頼るか」の問いに対して南アジアのイスラム国家マレーシア、インドネシアは中国を選ぶという。

 

    

 

 そんな「潮目」が変わったのが、今月初めに起きた事件。NGOの<World Central Kitchen(WCK)>が、ガザ地区に支援物資を搬入しようとして7名の犠牲者を出した。国連機関UNRWAの活動が難しくなり、ガザが危機的飢餓状態になっていて、陸路の支援が難しいならと支援物資の空中投下が行われていた。これでは大した量は届けられず、キプロス島からの海輸が計画された。

 

バイデンがネタニヤフに「最後通告」、軍事支援見直しを示唆 その数時間後、イスラエルは...|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

 

 この支援を受け取り、WCKが陸送する途中でイスラエル軍の攻撃を受けたのだ。支援物資の2/3は、陸揚げ出来なかったという。ここで7名の欧米国籍の人が亡くなったことで、先進各国の態度が変わった。バイデン政権もネタニヤフ首相に「最後通告」を突き付けて、支援を打ち切るぞと迫った。

 

 UNRWAでは、この紛争の早いうちに100名もの犠牲者を出している。にもかかわらず欧米各国のイスラエル寄りの姿勢は変わらず(*1)、むしろ「UNRWAハマスに関係した」と支援を打ち切っている。

 

 UNRWA職員(国連職員なんだけどね)の99%が現地採用だったことで、欧米各国は怒りませんでした。それが7名の犠牲でこの変わりよう・・・。今も人種差別は生きているようで。

 

*1:これってまさしく「Pause」 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)