Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「西側」援助とウクライナ人の血で

 予想されたこととはいえ、ロシアの選挙でプーチン大統領が当選、あと6年は事実上の独裁が続くことになった。再ロマノフ王朝の夢か、スターリンの再来としてか、ロシア史に名を残す為政者になったことは確かだ。現時点ではその野望は、ウクライナを打倒することに集中している。しかし一定の戦果を挙げた後は、別の目標を狙ってくるに違いあるまい。

 

 場合によっては地上軍を派遣することも排除しないとした、フランスのマクロン大統領の発言はそれを警戒してのものだ。さらにマクロン大統領は、

 

ロシアがウクライナで勝てば、次は欧州-マクロン仏大統領が警告 - Bloomberg

 

 と警告を発した。<Bloomberg紙>のこの記事には、各国のウクライナ支援(財政支援・人的支援・軍事支援)の多寡がグラフ化されている。

 

    

 

 一番多いのは地政学的危機に臨んでいる欧州諸国、次いで米国、英国、ノルウェー(非EU国・NATOには入っている)、日本と続く。軍事援助は種々の理由でできない日本だが、財政支援では5.5Mユーロと、英国(6.6Mユーロ)に近い実績を挙げている。

 

 これを「海外にはポンポン出す、ばらまき」と批判する日本国民もいるのだが、今はロシアの野望を「西側」援助とウクライナ人の血で防いでいる現状を理解してもらいたい。マクロン大統領が言うように「ロシアがウクライナで勝てば」、

 

・ロシア(≒プーチン)の野望は次の国に向かう

・国際的にも力による現状変更が可能だと示される

 

 ことになる。北方領土にはロシア軍の基地があり、1個師団が駐留していると伝えられる。確かにロシア海軍は強力ではないが、核戦力含めミサイルの脅威は北朝鮮の比ではない。今は日本人の血を流さないで、ロシアの極東における非道を防げていると思うべきだ。そのための財政支援など当然のことではないか。

 

 中国がまだ動けない(核戦力も不十分、国内経済の立て直しも必要)うちに、ロシアを封じ込めておくことこそ、日本のリスクを低減することになると思います。そのための支出は、惜しむべきではありません。