一昨日、昨日に続いて、今日もロシアのお話。別ブログで紹介しているように、このところサイバー諜報の結果得た情報が、立て続けに暴露されている(*1)。ドイツ軍の高官が出席したビデオ会議が盗聴され、その音声がロシア国営TVの編集長によって、SNS上で公開されてしまった。いわば「サイバー空間での独露戦の実況中継」である。
一方のロシアも、内部資料が流出して、恐らくは困った事態になっている。それが、この記事。
ロシア、中国の自国侵略に深い懸念 流出文書で明らかに | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
2008~14年のロシアの機密文書には、拡大する中国の戦力と、自国の(相対的な)戦力低下への懸念が述べられている。もし中国と国境紛争など起きた時には、唯一優位と思われる核兵器の使用を考えるともある。
19世紀末、ロシアを含む欧州の列強は、弱体化した清朝を食い物にした。香港・マカオ・青島・旅順等々、有力な港湾は続々「租借地」という名の植民地となった。不凍港を求めて南下するロシアも例外ではなく、ウラジオストクを手に入れて、中国東北部(旧満州)を内陸国としてしまった(*2)。
WWⅡの終盤には旧満州にも攻め入り、戦後も中露間に黒竜江省の領土問題が残った。これはその後、国境線が確定して鎮静化したのだが、潜在的に問題は残っている。極東での紛争を、ロシア(≒プーチン)は忘れていなかったのが、この文書で明らかになった。ましてロシアがウクライナに全力投入している今は、より中国の動向が気になる。
かつて英国首相チャーチルは、記者に「英国の仮想敵国はどこか?」と問われ「英国以外の全てだ」と応えています。これは外交の本質を現した金言ですし、当然プーチン先生&習大人も分かっているはず。中露蜜月・・・などというのは、全くのまやかしですよね。