トランプ大統領は、選挙期間中からロシア・ウクライナ紛争を終わらせると言い続けてきた。すでに開戦から丸3年が経ち、両国とも疲労の色が濃い。ロシアは1,400両の戦車を失い前線で馬を使っているそうだし、ウクライナも兵士不足が深刻だ。
そこでトランプ先生の登場となり、ウクライナに領土もNATO入りもあきらめさせる案が浮上している。米ロの直接交渉では、当事者のウクライナが置いてけぼりになりそうだ。
確かに戦争はやめさせたいが、このまま止めてもロシアの再侵略を防げないとの意見が「西側」には根強い。それを意識してか、そもそもこれが狙いなのか、トランプ先生が「ロシアをG8として復帰させよう*1」と言い出した。

例によって「ノーベル平和賞ほしさ」のあがきなのかもしれないが、少し長い目で歴史を見ればあり得る話かもしれない。例えばWWⅡ前に、独ソ不可侵条約が締結され天敵同士が手を結んだ。日本の平山内閣は「欧州の情勢は複雑怪奇」として総辞職するが、情報収集能力や戦略眼の欠如が明白になった件だ。
覇権国米国にとって、主敵は中国。これをG8で包囲するなら、対応はし易い。主敵を中ロにしてしまうのは、戦略的愚策だ。WWⅡでも、西側諸国には悩みがあった。ドイツとソ連という脅威に対し、本来飼いならせるかもしれないトラ(ドイツ)を斃して、交渉の余地のないワニ(ソ連)を生き延びさせた戦略ミスが、後の冷戦を産んでいる。今の情勢では、一応民主主義のロシアが選挙などない中国よりましと考えるなら、G8の可能性はあり得るのだ。
WWⅠ前の時期の政治交渉をシミュレートした「Diplomacy*2」というボードゲームをやったことがあります。後の人間関係を壊しかねない騙しあいの世界でしたが「複雑怪奇」などと泣き言を言うくらいなら、こういう勉強をして嫌われた方がいいですよね。