難航が予想されるウクライナ・ロシアの停戦交渉だが、まずは両者が合意できることから一歩一歩進み始めた。もちろんウクライナは侵略者プーチンを信用していないし、ロシアも「ネオナチ」であるゼレンスキーに対し同様の考えを持っている。両者の折り合えるところは見えてきていない。
当座の合意は、双方ともエネルギーインフラへの攻撃を控えること。国民の命や経済活動を護るには、エネルギーインフラの安定は欠かせない。そもそも3年前の侵攻開始時、プーチン大統領として誤算だったのは、
・ウクライナの電力インフラが西側のものに替わり、ロシア側の攻撃に耐えた
・混乱をもたらすはずだった政府システムが、ビッグテックでバックアップされていた
・通信システムも<スターリンク>が地上システムを補完して機能し続けた
ことにある。これら重要インフラを護ることは、すでに経済安全保障を越えて本来の安全保障の要点であることが分かっている。

日本政府もインフラ防護には以前から着手していて、例えばオリンピックを契機にインフラ事業者にサイバーセキュリティ強化を求めるなどしていた。そして今月インフラ改善について、2つの記事を見つけた。
電力・通信インフラ一体整備へ 官民協議会立ち上げ - 日本経済新聞
日本版スターリンク、実は着々と準備中 | ギズモード・ジャパン
一見当然のことと思えるのだが、これらには大きな意図が隠されているのかもしれない。理由は、同盟国米国への信用が揺らいでいること。万一日米が反目し合うようなことにでもなれば、スターリンクはもちろん電力インフラさえ「攻撃」されるかもしれないのだ。ロシアに亡命中のスノーデン氏は「米国は潜ませたマルウェアで日本の電力を止められる」と言っている(*1)。映画「スノーデン」にも、そんなセリフがあった。
であれば、スターリンク代替えはもちろん、電力インフラも(地上通信インフラも)日本流に改める必要があるかもしれません。これらの記事にある協議会や研究開発は、それを意図してのものとも考えられますよね。