今月初めのウクライナの<蜘蛛の巣作戦>の詳報が、徐々に入ってきている。コンテナに建築資材などと称して詰め込んだ自爆ドローンを、輸送車両に乗せて目標近くまで運び、遠隔操作により上面を開け飛び立たせたというもの。
総数150機ほどのドローンが、ロシア各地の空軍基地に向かった。モスクワに近いジャギレヴォ・イワノヴォ両基地はともかく、最北のムルマンスク州オレニャ基地、バイカル湖に近いイルクーツク州ベラヤ基地まで破壊したのは驚きでしかない。ロシア空軍の空軍戦力の34%にあたる41機を撃破したのは、大戦果と言っていい。
全世界に手薄で前近代的な防空設備を知られたロシア、勝利にはほど遠い現実 怒りに任せウクライナへミサイル攻撃を加速させるも、戦力低下は明白に(1/5) | JBpress (ジェイビープレス)

この記事は、ロシアの防空能力の低さを挙げ、別の記事は米軍も戦慄を覚えたとある。自衛隊でも軍用機を収容する掩体壕がないとの指摘もあるが、前線に近くなければ掩体壕の設置はコスト面で難しい。
輸送用コンテナに偽装したドローンプラットフォームは、もちろん貨物船にでも搭載できる。<真珠湾奇襲>では航空母艦が主役を務めたのだが、今はドローン満載の強襲揚陸艦や潜水空母がその役割を取って変わるのではと述べた(*1)。それが軍艦ですらなく、普通のコンテナ輸送船でできるのでは、少なくとも(カネのかかる)空母に攻撃用兵器としての意味は無くなったと言っていい。
米国が保有している11隻の巨大原子力空母や、日本の<いずも型>など4隻、イタリア海軍の<カブール>、英国海軍の2隻、そして最近3隻目が就役した中国海軍の空母。いずれも次の戦争では「航空戦力がないところに配備できる一時的な航空基地」という、防御用のものでしかないだろう。
いよいよ「空母機動部隊」にメスを入れる時が来たのですが、米軍の今後の動向に着目することにします。