ウクライナ側の発表では、前線での兵士の死傷の7割はドローン兵器によるものだという。塹壕の直上まで飛んできて兵士を顔認証(!)し、爆弾を落としたり溶融金属を吹きかけたりするドローンは、本当に厄介な相手だ。
例えば飛行型のドローンに対しては、
・対空機関銃で撃つ
・散弾銃で撃つ
・ネットをかぶせる
・電波妨害する
などが考えられた(*1)。妨害すべき周波数が分かるなら、最後の策が一番コストも安く効果的だ。ただ電波妨害には対抗措置もあって、昨今は光ファイバを引きずって飛んでくるドローンがある。これなら、電波妨害など痛くもかゆくもない。

そこで、光ファイバ制御ドローンも含めて無力化する戦術が考案された。それが、対ドローン用高周波指向性エネルギー兵器「RFDEW」である。まさに「殺し合いともなれば、人間の発明の能力は無尽蔵」だ。
「ドローンの大群を一気に落とす!」新たなエネルギー兵器が実験成功 コスパが異常に高いのが魅力 | 乗りものニュース
この英国国防省の実験では、1km先のドローンを検知して(光ファイバを引いていても)無力化できる。高周波で、ドローン内部の電子部品を壊すことができるのだ。そこで今度は、ドローン側の防御策の研究が必要になる。高周波で何が壊されるかと言えば、コネクタやワイヤのようなものより半導体だと思われる。すると耐高周波能力のある半導体が研究開発の対象となるし、それをどう量産するかという戦争経済の話になる。
半導体を電波・電磁波からどう守るかについては、いくつかの先行課題があります。例えば宇宙線からの防御は従来課題ですし、昨今は「漏れる電磁波でAIが盗まれる*2」危惧も出てきました。半導体の電波・電磁波対策は、かなりHOTな研究テーマと言えるでしょう。