Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

対戦車自走砲の今後の意味

 3年にわたるウクライナ戦争は、すでに過去のものなったと思わせる戦い方(塹壕戦・戦車と戦車の戦い等)を再現してくれたと同時に、新しい戦い方(主としてドローン)も見せてくれた。陸戦の王だった戦車の価値は「やっぱり鉄の塊は必要」と上がる反面、「安価なドローンの集団にかかればひとたまりもない」と下げもした。

 

 要約すると「戦車はある場面では有力な兵器だが、新しい攻撃法にも対処しないといけない」となる。先月紹介した、M1A1エイブラムスをウクライナ軍が「魔改造」した例(*1)が典型的である。

 

 改めて対戦車戦術兵器を考えてみると、

 

・対戦車地雷、仕掛け爆弾

・白兵突撃、火炎瓶や手榴弾

・携行ロケット兵器(バズーカ・RPG等)

・対戦車砲戦車砲、対戦車自走砲

対戦車ミサイル

・対地攻撃機(爆弾、ロケット弾、機関砲等)

・ドローン

 

 くらいが考えられる。

 

    

 

 白兵突撃は危険すぎるし、携行ロケット兵器も兵士を危険にさらす。その代わりに撃ちっぱなしの対戦車ミサイル<ジャベリン>などが登場した。また対地攻撃機に関しては、A-10が退役を早める(*2)など、ドローンで代替えする方向だ。では対戦車砲自走砲というのはどうだろうか?

 

どうみても“戦車”だが違う車両 本格配備に向けてテスト開始「74式戦車よりも重い!?」 | 乗りものニュース

 

 米陸軍は、M10<ブッカー>という新車両を開発中だとある。105mm砲装備で42トンと軽い。同じM10という名称を冠し、WWⅡに登場した対戦車自走砲(*3)に近い用途とみられる。

 

 しかし本当にこのようなAFVが必要なのでしょうか?実は先代のM10も、戦車ではないのに戦車のように使われて大きな犠牲を出しました。名前と同様、同じ過ちを繰り返すことにならないだろうかと(勝手に)案じる次第です。

 

PS:どうもM10は調達中止になるようです。

 たった1年で調達終了! アメリカ待望の「新戦車」キャンセルの理由は? 陸軍長官「コレジャナイ」とも | 乗りものニュース

 

*1:戦車は戦場で鍛えられる - Cyber NINJA、只今参上

*2:「イボイノシシ」を駆逐したもの - Cyber NINJA、只今参上

*3:大戦後期米軍のAFV(前編) - Cyber NINJA、只今参上