先週末、イスラエル軍がイランの核関連施設や軍事施設を攻撃し、司令官を殺害するなどの暴挙に出た。何日か前からトランプ2.0政権はイスラエルの攻撃が迫っているのを知っていて、隣国イラクにいる米国大使館関係者らに退避などを勧めていた。
ネタニヤフ政権の無軌道ぶりもひどいのだが、トランプ政権の以下の反応には呆れてしまった。
イスラエルの対イラン攻撃、米は関与していない=ルビオ国務長官 | ロイター
「関与していないから米国は悪くない」のではないだろう。「ネタニヤフを抑えるように関与できなかった米国が悪い」と僕は思う。最優先事項としては、この地域の米軍を守ることだとルビオ国務長官が言う。イラクやイランには多くなくても、イスラエルには多いだろう米国籍の民間人すら視野に入っていない。これがトランプ2.0政権の実態である。

米国政府は大幅な人員削減を進めていて、情報機関もその例外ではない。代表的な機関CIAでは、千人規模のリストラがあると伝えられている。解雇された人はもちろん、解雇に怯える人たちも士気が上がろうはずがない。その結果ホワイトハウスが得られる情報と政策の選択肢が狭められ、ネタニヤフ政権を抑えるすべが無くなったようにも見える。
インテリジェンスがなければ、強大な戦力を持っている在中東米軍や地中海艦隊なども、力の発揮しようがない。ルビオ国務長官が言うように「守られなければならない」大きなマトに成り下がってしまった。減税をやりたいトランプ2.0政権なら、ただのマトであり金食い虫の在中東米軍など早々に引き揚げてしまうべきだったのではないか。
いずれにせよ、イランがこのまま黙っているはずもありません。反撃を予期して非常事態宣言をしたイスラエルのネタニヤフ政権も引き下がるつもりはさらさらなく、中東は本格的な紛争に巻き込まれることになるでしょう。日本にとっても、化石エネルギーの大半を依存しているホルムズ海峡の不安定化という問題を抱えることになります。頼むに足らない米国を見て、日本政府は何か動くのでしょうか?