Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

使える核兵器が必要な事情

 ウクライナにロシアを引き付けておけるうちはいいが、何らかの停戦が成されるとロシア軍は戦力を立て直す機会が得られる。次の狙いはバルト三国フィンランド?それともポーランドか。加えてNATOの中核たる米国が、信用できなくなっている。欧州各国は、真剣に「第三次欧州大戦」のことを考えざるを得なくなった。

 

 すでにドイツは「長かった20世紀が(今)終わった*1」と、純粋に軍事面では<第四帝国>になろうとしている。さらにバルト三国への地上部隊の駐留も始めた。フランスは、使えるかどうかわからない<米国の核の傘>に代わり、自国の核兵器を共有してもいいと提案している。

 

 そして海峡を隔てているとはいえ「第一次欧州大戦で、すでに空軍という橋を架けられてしまった」と考える(*2)英国も、軍備増強に踏み切った。

 

半蔵門にある英国大使館

英国、核弾頭プログラムに150億ポンド-首相が防衛改革の概要発表 - Bloomberg

 

 現時点で英国は、ロシアや中国といった大国と戦争ができる状況にない。兵器の不足、兵力の不足や採用難、士気の低下等を改める必要があり、国防費をすぐにでもGDP比3%に上げたいとスターマー首相は言う。

 

 原潜を12隻新造し、軍事施設も6箇所増やすというが、兵力増強も含めそれらには時間がかかる。すぐに抑止力としての戦力強化をするなら、使える核兵器(戦術核)の配備とAI兵器の開発配備が対策として挙げられるだろう。

 

 英国は核保有国だが、都市を一撃で吹き飛ばすような戦略核兵器しか持っていない。これは使えばMAD(相互確証破壊)をもたらすので、事実上使えない兵器である。その英国が戦術核(当座は米国の爆弾)をステルス戦闘爆撃機などに装備できるようにする意味は、核も使う可能性があるということだ。

 

 兵器不足・兵力不足・採用難などは、日本も同じで、ロシアや中国と正面切って戦う能力はありません。では、どうすれば?ユーラシアの両端にある島国として、英国を見倣うことは合理的だと思うのですが・・・。

 

*1:極めて重いドイツ大統領の言葉 - Cyber NINJA、只今参上

*2:1940年夏、英国上空の闘い - 新城彰の本棚