函館山から市街地に向けて、多くの名前のついた坂が並んでいる。きらびやかな公会堂に突き当たる基坂、摩周丸が見下ろせる大三坂、護国神社につながる護国神社坂のように有名なものもあれば、名前が付けられていない短いものもある。
幾多の坂の中で最も東に位置するのが青柳坂、市電青柳町の電停に近い。最も西に位置するのが魚見坂、市電函館どつく前の電停から発している。この日は両端の2つの坂を散歩してみた。

青柳坂を登っていくと、左手に大きな公園が見えてくる。動物園や遊園地、浄水池もある巨大な公園で、よく整備されていた。松の巨木が多く、正門近くの噴水の周りを散歩する人も多い。石碑には「今上天皇御即位記念」とあった。昭和天皇かと思ったが、大正天皇だった。大正~昭和初期、函館の街は東日本で東京に次いで賑やかなところだったと、十字街近く銀座通りの掲示にあった。

函館公園を出て立待岬方面に行くと、谷地頭の電停があった。ここから十字街まで戻り、昨年秋に乗ったのと同じ市バス43番に乗り換えて、魚見坂の上にある高龍寺まで行く。山手通り経由で、公会堂など歴史的建造物を見ることができるお得なバス旅である(*1)。

高龍寺に隣接する称名寺には、1945年の函館空襲犠牲者の碑がある。平和な今は、魚見坂からのんびり函館港外に停泊する貨物船を眺めて歩くことができる。魚見坂沿いの民家には、鉢植えを玄関先に飾っている家も少なくない。バラは今が盛り、ラベンダーや紫陽花はもう少し先かな?

坂を下りきると、函館どつく前の電停があります。ここから市内電車に乗って、十字街に戻ることができます。函館山から広がる扇形の坂を東から西まで歩いてみました。いい気持でしたよ。