自衛隊が本当に戦う日が来るかもしれない。WWⅡ後80年ほどたって、ようやくそんな意識が市民の間にも高まりつつある。戦争を絶対悪と捉える人が比較的多い日本だが、世界中で武力紛争が頻発し、海外ニュースの多くが戦場のものになっている今、ある意味当然のことかもしれない。
実戦を想定するとなると、一番に補強しなくてはならないのが兵站力。先の大戦でも、日本軍は「輜重・輸卒が兵隊ならば、蝶々・蜻蛉も鳥のうち」などと兵站を軽視して敗れた(*1)。もっと以前からやるべきだったのだが、ようやく自衛隊も兵站能力、特に島嶼戦を想定した輸送力の強化に乗り出している。

今回進水したのが新型輸送船「にほんばれ」。
まもなく発足! 自衛隊の「異色の運び屋」母港は衝撃の2か所「え、拠点そこ!?」 | 乗りものニュース
艦首に開閉式の扉を持ち、迅速に車両の乗下船が可能になる。喫水が3mと浅く、従来の輸送船が近づけない海岸や埠頭も利用できる。排水量は2,400トンほどだが、車両十数両か、コンテナ十数個を搭載できる。
帝国海軍以来の船の名前のルールを完全に逸脱したネーミングだが、それもそのはず運営するのは陸上自衛隊だという。同型艦は当初呉などに配備されるが、完熟訓練を終えた後は陸上自衛隊の根拠地に近い港に母港を移すという。
そういえば先の大戦でも、海軍を信用していない陸軍はガダルカナル戦(これも典型的な島嶼戦)の教訓から、普通の輸送船どころか潜水能力のある輸送船まで開発・生産している(*1)。今回はそんなことの無いよう、陸海空3軍に情報戦の部門も含め、十分な連携の下で作戦を実施して欲しいと思う。
上記の記事にはありませんが、兵器や兵力を島嶼に運ぶだけでなく、危険な島から住民を避難させるのにも使えるはずです。その点もアピールして「市民のための軍隊」であることを十分に周知してくださいね。