Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

政界・官界・産業界

暴露型ランサムへの対応(2)

このセミナーのタイトルは「グローバル経営とサイバー危機対応」というもので、いずれもグローバルに活動する、監査法人・コンサルファーム・法律事務所の共催で、経団連が後援していた。登壇したのは3共催団体と、日本の大手企業の人。いずれも日本人だが…

暴露型ランサムへの対応(1)

先日のコロニアル・パイプラインの事件や、ブラジル食肉加工大手へのランサムウェア攻撃は、ホワイトハウスも座視できず「サイバー攻撃はテロと同様に扱う」と宣言するに至った。ランサム(身代金)ウェア攻撃は従来からあり、データを暗号化するなどして使…

企業の責任、世論の責任(後編)

フィリップ・マーロウの有名な台詞に「男はタフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている意味がない」というものがある。これを現代の企業にあてはめると「企業は儲けなければ生きていけない。社会を支える存在でなければ生きている意味がない」…

企業の責任、世論の責任(前編)

このところ、急速に半導体産業に注目が集まっている。世界的な需要急増、自然災害による供給懸念、米中対立の焦点である台湾の大手TSMCの動向など、新聞のTOP記事に「半導体」の文字が並ぶようになった。 「ルネサスエレクトロニクス」の社名など、TOP記事に…

少子化対策にもうひとつ

「COVID-19」騒ぎは、もともとその社会が抱えていた課題をあぶりだしたという。格差問題にしても貧困問題にしても外国人労働者問題にしても、隠されていたものがより早く顕在化したと言えよう。その中には「少子化問題」もある。「COVID-19」によって日本の…

確かに公共交通は苦境だが

長引く「COVID-19」禍、飲食店から百貨店、イベント施設など広範な業種に苦境は広がっている。とにかく市民が「外に出たくなるようなものは全部NG」と言われた大型連休が過ぎると、今度は通勤を減らせという圧力に変ってきた。西村大臣いわく「テレワーク推…

異動の春、転職の春

比較的「JOB型雇用」の多いデジタル業界、中でも専門性の高いサイバーセキュリティの世界に知り合いが多いものだから、異動や転職の話は良く聞く。僕が経営に関わっている小さな一般社団法人でも、会員企業のキーマンから、 「異動で別の部署(系列企業)に…

アナログでも出来る「Post Truth」

いわゆるフェイクニュースというものが代表的なのだが、SNSなどインターネットメディアが事実と異なった情報を拡散させることが社会課題となっている。トランプ先生などはSNSが作った大統領と言えるかもしれない。ネット上に偽ニュースをUPしたり、これに著…

久し振りの自民党本部(後編)

会議室には菅総理の顔写真と「国民のために働く」というスローガン、それに「総力結集、120万人党員達成へ」と書いた赤いポスターが貼られている。衆議院議員選挙本番に向けての意気込みと見られる。それにしても政権与党としての自民党員って、120万人もい…

久し振りの自民党本部(前編)

前夜早く寝たので、目が覚めたのは午前5時。それでも窓の外は少し明るくなっている。さすがにまだ起き上がるのには早いのだが、二度寝の結果寝過ごしてはいけない。わざわざ平河町に泊ったのは、朝8時からの自民党本部の会合に出るため。 僕が政策などとい…

官僚がテレワークしづらいわけ

「マンボウ」が埼玉・愛知・神奈川・千葉の一部エリアにも広がっているのだが、気のせいかオンラインじゃない会合が増えてきた。理由を考えてみると、霞ヶ関がらみの会合の半分がリアルで行われていると気づいた。1年ほど前、最初の「緊急事態宣言」のおり…

サイバーセキュリティ協議会

先日政府関係者と産業界の意見交換の場に参加し、「サイバーセキュリティ協議会」について聞くことができた。この組織の目的は「官民の多様な主体が相互に連携した、より早期な段階での、サイバーセキュリティの確保に資する、情報の迅速な共有等」である。…

もしサボタージュだったら?

「COVID-19」禍での「特定定額給付金」や「雇用調整助成金」の手続きが滞った原因のひとつは、政府・自治体が市民をちゃんと把握できていなかったことにある。せっかくマイナンバー制度を作ってあるのに、マイナンバーを活用できずデジタル化のメリットを活…

日米研究インスティテュート

先週「日米研究インスティテュート(USJI)最終シンポジウム」を視聴することができた。USJIはワシントンDCを中心に活動したシンクタンクで、日米連携を学界として研究・推進するために設立されたものである。日本の学界にある「日米研究機構」の米国出先拠…

電波行政の在り方

「東北新社」の官僚高額接待事件からNTTの接待にまで話が及び、対象が官僚に留まらず当時の大臣・副大臣にまで広がってしまった。1万円を越える会食の件数や、処分を受けた官僚の退職金の話などがメディアを飛び交っているが、今ここで考えるべきは「電波行…

ブラックアウトへの備え

今日は東日本大震災からちょうど10年の節目の日、各地で追悼式など行われているが、これに先立ちメディアでは10周年記念番組が放映されている。昨月末の「朝まで生TV」もその特集だった。当時の菅(カン)元総理までパネリストとして登場したのには驚いた。 …

ソラリウム委員会のレポート

米国議会にはいくつもの機関があるが、その中でも昨今の事情で注目されているのが「サイバー空間ソラリウム委員会」。過去にも多くのサイバー攻撃対策を提言していて、例えば、 ・大統領執務室でのサイバーテロに対応するディレクターの設置 ・国土安全保障…

ATMが通帳を食べた!

日本興業銀行・第一勧業銀行・富士銀行が合併して出来上がった「みずほ銀行」。3メガバンクの一角を占める雄だが、システム統合に手間取りそちらの面で有名になった。3つの銀行のメインSIerが全部違っていたという不利もあったのだが、なかなか完成しない…

日本の賃金、国際比較で下位

連合と経団連のいわゆる「春闘」の最初のセレモニーで、連合の神津会長が「日本の賃金は低い」とベアを求めたのに対し、経団連の中西会長は「ベアは各社の事情があり一律に決められない。しかし賃金がOECDでも下位になったのは確か」と応じた。これに対し経…

デマンド・プル型のインフレ?

相変わらず「お金配れ」の意見は続いていて、NPO法人ほっとプラスの藤田理事は毎日のように「配れ・配れ」と言い続けている。そんな声に、恐らく近づく選挙を意識しての事だろうが与党の中からも、そちらに傾く意見が出始めた。前の自民党総裁選を戦った宏池…

民主主義・資本主義の終わり?

日経新聞が、今週から「パクスなき世界~夜明け前」とする連載を始めた。最初の見出しは、 ・世界裂く「K字」の傷 ・民主・資本主義、修復へ挑む である。古代ローマの平和と秩序の女神「パクス」、それがいなくなった今、世界には秩序をつかさどる国はない…

次期サイバーセキュリティ戦略に向けて

先月個人情報保護法の見直しに向けた議論を御紹介したのだが、動きの速いデジタル分野では多くの規定が3年毎見直しの対象になっている。100年以上見直されていない民法の規定「嫡出推定」などとは、法律のサイクル自体が違うのだ。 3年見直し対象のひとつ…

ご難続きの総務省

菅総理の長男が役員を務める東北新社に、総務省の幹部4人が接待を受けたとされる事件、「文春砲」もここまでやるかと半ばあきれ、半ば感心した。ある程度定期的な会食だったようで、ただ出入りを写真に収めただけではなく、隣室に入り込んで会話を録音して…

中国子会社とのIT統合リスク

先日寺島実郎先生が米中対立関連のコメントで、「日本の貿易量は、米国より中国の方がずっと大きく、昨年も増えている」と仰っていた。経済を考えれば米国の陣営に入り中国と距離を置くのは得策ではないと、仰りたかったのような気がする。しかし僕は昨今の…

インフラ保守と新技術の相性(後編)

これに加えて、現場の人達からは「ハイテク・ローテクのバランスを考えながら少しずつ進めたい」との意見が多かった。僕らの言うDXは、根本から考え直す戦略的な構造改革が多いが、インフラ保守のような既存の現場ではそれは危険だとのこと。しかし技術ベン…

インフラ保守と新技術の相性(前編)

日本には高度成長期に建設・整備された膨大な社会インフラがあり、それらの多くが寿命を迎えようとしている。橋梁やトンネルの維持保守にはかなりの資源(人員・予算・時間)が必要で、今後それらの確保に十分な見通しがあるわけではない。国交省では2022年…

「二重の脅迫」という手口

「COVID-19」騒ぎにつけこんでか、外に出歩けないからか、サイバー攻撃が昨年後半から激しくなってきているという。経産省は年末に「最近のサイバー攻撃の状況を踏まえた経営者への注意喚起」を発表している。特徴的なことが3点あり、 ・Vurtual Private Ne…

プラス・セキュリティ人材(後編)

もう一人、サイバーセキュリティへの企業の取組強化を促す団体の事務局長をしているという人は、IT技術者の技術標準である「IT Skill Standard:ITSS」を引いてプラス・セキュリティ人材の位置づけを説明してくれた。ITSSの改良版「ITSS+」には、セキュリテ…

プラス・セキュリティ人材(前編)

先週政府の「サイバーセキュリティ戦略本部」の会合で、人材育成の議論を聞いたことを紹介した。その目的のひとつとして、DXに必要な「プラス・セキュリティ」知識を補充できる環境・人材育成の推進が挙げられていた。 DX with Securityのための人材育成 - C…

今年はリバウンドがやってくる

英国では、欧州で最初に死者10万人突破という暗いニュース。変異ウイルスが猛威を振るっていて、感染力だけではなく死亡率を高める変異株ではないかとも言われている。オランダでは「自粛」に飽きた若者が暴動を起こし、連夜の機動隊との衝突を続けている。…