Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デジタル監石倉先生への期待(後編)

 初代デジタル監に就任された石倉先生とは、一度だけパネルディスカッションをご一緒させていただいた。その時のテーマも「DX&電子行政」で、モデレータの石倉先生から、

 

・なぜ今までのDXはうまくいかなかったか?特に日本の電子行政。

・今回のDXを成功させるには、何が必要か?

 

 などの質問を投げられた。僕は(ずうずうしくも)前者への回答は「市民の視点でなく、サービスをする行政側の都合を考えてデザインしたから」、後者への回答は「行政でも教育でも医療でも、何をするのが目的かを最初に整理すること」とした。先生は僕の乱暴な意見を、言外のニュアンスも含めて十分理解いただけたと思っている。

 

 だから先生には経営学者として、サイバー空間での行政サービスのありようを最初から見直していただきたいし、市民のニーズは何かをまず確定し、それを実現するために徹底したBPRから始めてもらいたいのだ。

 

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 霞ヶ関そのもののDXは、まだシステムの数も規模も多くないが、自治体システムとなると数が多い。「個人情報保護法2,000個問題」の例にもあるように、各自治体で微妙にシステムが違っている。独自に定める条例の違いもあるし、同じサービスでも名称が違うなどの相違が散見される。自治体の、本来はほぼ同一であるべきシステムの乱立とその標準化の方向性については、下記の記事で紹介している。

 

自治体システムの仕様統一(前編) - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

自治体システムの仕様統一(後編) - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 「デジタル庁」の大きなミッションが、ここで言う「自治体システムの仕様統一に向けた新法と基金の創設」にあることは疑いがない。そのためには、この団体(ユニバーサルメニュー普及協会)のようなところがすでに研究・提唱している「標準仕様」をベースに、自治体のサービス部門だけではなく市民そのものも含めた関係者間で議論する場を創設してもらえないかと思う。

 

 政局もあわただしさを増しているのですが、やるべきことははっきりしています。「デジタル庁」の事務方TOPは政局とは関係なく、ご尽力いただけますようお願い申し上げます。