Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デジタル監石倉先生への期待(前編)

 今日僕らの希望である(あってほしい)「デジタル庁」が発足する。求められるのは日本社会の「Social DX」なのだが、まずは「政府・自治体のDX」。担当大臣として「デジタル相」がおかれ、総理の直下で霞ヶ関横断のプロジェクトを推進することになる。

 

 実質的な業務遂行は民間から起用される「デジタル監」があたり、この職位は他の府省の事務次官に相当する。グローバル化(というかアメリカンスタンダード化)が進んだ企業の人事では、国籍も性別も、その企業での実績も無関係に「適材適所」で役員や部門長が飛んでくるようになった。しかし霞ヶ関ではまだその文化ではなく、新卒採用で地道にステップを踏みながら登ってきた人が事務次官ポストに就く。そういう意味でも、霞ヶ関改革に先鞭をつける「庁」としての期待もある。

 

 初代デジタル監には、一橋大の石倉名誉教授が就任された。国際派の経営学者で、ダボス会議などでも有名な人。日本のDXを海外に発信していくには、最適の人材と思われる。「技術・テクノロジーがわかり、リーダーシップを取れること」(平井大臣)との条件に合うかの議論もあるが、このポストは技術者よりは経営学者の方が向いていると僕は思う。

 

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 それは、DXの最初のステップは徹底したBPR(Business Process Re-engineering)をすることだから。電子政府・行政は何をするべきなのかの原点に立ち返り、市民が何を求めているかを考え、従来の行政プロセス(申請書を出す・印鑑を確認・通知を郵送・・・)を抜本的に換えてサイバー空間で実現できればいいのだ。

 

 何かの助成金を申請するにあたり、住民票や登記書の写しがまず要るというのではなく、本人認証と申請条件の審査の方法を決め、合致すれば即日振込できるようにしたいものだ。

 

 サイバー空間での行政プロセスの考え方が決まれば、それは500人(民間から100人)いるデジタル庁の職員が、実現方式を考える。従来の「Water Fall Model」ではなく、設計・実装・試行を短期間で繰り返す「Agile開発」の手法で練り上げていけばいい。

 

 そのような仕事の進め方を、石倉先生が全職員とその協力者に徹底していただければと思う。

 

<続く>