先日お世話になった自民党塩崎衆議院議員の次期選挙不出馬表明を、寂しい思いで聞いた。70歳は政治家としては脂の乗った年代なのに、80歳超えてもお元気な長老が一杯おられるのにと、残念に思った。ところが今度は、60歳で亡くなるという悲報が入ってきた。それは日経新聞社の春原剛編集局国際部編集委員の訃報。
春原さんは上智大学から日経に入社、ワシントン支局勤務や米国戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員を務めた人だ。軍事関連に深い経験を持つジャーナリストだった。数年前に「日経サイバーイニシャティブ東京」というイベントを立ち上げ、今年も11月にそのイベントを控えて企画推進中に不帰の人となった。
このイベントは僕も最初の立ち上げからお手伝いさせてもらっていて、先週関連のオンライン会合があったのだが、その冒頭一人の参加者から「春原さんにご不幸が・・・」という発言があった。日経の人が「公式発表は来週ですが」と断ったうえで、亡くなったと教えてくれた。最後までこのイベントのことを気にかけておられたという。
このイベントのテーマはサイバーセキュリティ、発足当時はまだ国家安全保障の議論はほとんどなく、産業界がどうやって自分を守るかが主な論点だった。ところが春原さんの専門は安全保障なので、その視点でのいろいろな意見は、僕にはよい勉強になったものだ。
昨年Book-offで彼の著書「日米同盟 vs. 中国・北朝鮮」を見つけて買ってきた。この書は、日本通の2人の論客、共和党のリチャード・L・アーミテージ氏と民主党のジョゼフ・ナイJr氏に、春原さんがインタビューして出来上がったもの。
11年前の安全保障論 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
今でこそ多くの日本人が「中国の軍事的な脅威」を認識し始めているが、11年前の時点から脅威の本質は変わっていないことを、本書は教えてくれた。サイバーセキュリティの世界でも、今年の日本のサイバーセキュリティ戦略見直しでは安全保障に関する記述が増えてきている。いよいよ春原さんの知見・人脈がモノを言う時代になってきたのに・・・と思う。
政治家でなく民間人でも60歳は働き盛り、いやこれから実力発揮の時期です。残念至極ですが、ご冥福をお祈り申し上げます。