Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

異動の春、転職の春

 比較的「JOB型雇用」の多いデジタル業界、中でも専門性の高いサイバーセキュリティの世界に知り合いが多いものだから、異動や転職の話は良く聞く。僕が経営に関わっている小さな一般社団法人でも、会員企業のキーマンから、

 

「異動で別の部署(系列企業)に移ることになりました。後任はxxです」

「退職し、まだ企業名は言えませんが新しい会社に移ります」

 

 という連絡を春にはよくもらう。そう、全体の1~2割くらいだろうか。その中には決して少なくない比率で「転職」がある。僕も企業内では5~10年ごとに仕事は変えてきたから転職に違和感はないのだが、同一企業の中にいると処遇関係は引き継がれていく。外資系に多い転職組は、そうはいかない。それでも自分の新しい可能性を求めて次の企業を考える人には、エールを送りたい。

 

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 政府も社会全体でも適材適所を(特にデジタル人材は)図りたいと考えて、人材の流動には期待している。そもそも日本企業の場合、デジタル人材がベンダーに偏在してユーザー企業に少ないのが、世界的なDXの潮流に遅れる原因だという意見も多い。

 

 ただ今回ちょっと気になるニュースがあった。「COVID-19」対策で各国財政赤字を抱え込んだせいか、増税の話がいくつも聞こえて来ている。法人税所得税相続税も、ひょっとすると消費税も。細かな話かもしれないが、退職金課税強化は決まったらしい。

 

退職金への課税、2022年分から強化へ…変更点を解説 - ライブドアニュース (livedoor.com)

 

 役員ではない一般の社員の場合、勤続年数で控除額が決まってくるのだが、退職金額から控除額を引いた後、1/2を掛けて税額を決めるのだそうだ。一度貰っておきながら知らないとはね・・・。

 

 2022年から勤続5年未満の人には、この1/2特典が無くなるというのが課税強化のポイント。これって、5年以上その企業にいなさいということだよね。人材流動化の方針に竿指すものではなかろうか?一方で1/2特典そのものが通常所得より退職所得が有利になるようにした制度で、人材流動化を阻んでいるような気もする。

 

 労働者保護の名目で、労働&報酬についてのシステムが複雑化してしまったのが現状。ストックオプションなども含めたシステムの簡素化、議論が必要かと思います。