日本政府は「COVID-19」感染拡大対策として、早期に「お酒を提供する店」を狙い撃って営業時間短縮や、酒類提供禁止、果ては「営業自粛」まで求めてきた。初期の頃には「夜の街」での感染リスクが高いと思われ、それなりの効果はあったのだが、これだけ市中感染、家庭内感染が増えてくると居酒屋チェーンなどから、
「酒ばかりいじめるな。居酒屋が元凶だとのエビデンスがあるのか」
との叫びも聞こえてきた。そう政策はエビデンスに基づかなくてはいけないし、状況は刻一刻変わるからそのエビデンスデータを基に変えて行かないといけないはず。今回の「COVID-19」感染拡大対策には間に合わないだろうが、実は日本政府はデータ・エビデンスを活用した政策の基本的枠組みを明示することに取り組んでいる。Evidence Based Policy Making:EBPMというのがそれ。
・ビッグデータ、リアルタイムデータの利活用体制の確立
・データ利活用の戦略的体制の整備
・EBPM推進体制の強化と予算等との連携の強化
と挙げられていたが、その後内閣府にEBPM推進委員会をおいて、その推進方針について協議してきた。各府省にいる政策立案総括審議官(次官級)が構成メンバーで、内閣官房副長官補が会長を務める、かなり高位の組織だ。委員会の下に2つのワーキンググループ(WG)、
・EBPM課題検討WG
・データ利活用WG
があり、今回後者の活動について聞く機会があった。WG設置の主旨は「EBPMの基盤となるデータの利活用および統計等のデータの利活用のための提供並びにそれらのために必要となる体制整備を推進」とある。意味はわかるが、非常に読みにくい文章だ。
WGには大学教授や民間コンサルなどこの業界の有識者が並んでいて、昨秋から議論を始め、今年6月に「とりまとめ&ロードマップ」を公表している。通常データ利活用というと政府のデータを民間に使わせる「オープンデータ」のことが思い浮かぶが、今回の件は逆に民間データも行政に提供してもらって政策に活かそうというもの。4つの論点が提示されていた。
・データガバナンスの確保
・データ活用人材の確保と育成
・民間データの利活用
・行政データの一層の利活用
である。
<続く>