Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

株式会社は誰のもの

 先月石油メジャーのひとつ「エクソン」が、ヘッジファンドの薦める3人の取締役を加えることになった。この3人が環境活動家であったことから、石油メジャーが変ったのかと思いきや、株主たちの意向が大きかったことが分かった。普通なら、

 

・企業は儲けること、儲けて株主に配当することが使命。

・環境配慮などに過度な負荷をかければ、利益が減って配当が減る。

・だから株主はそれに反対し、株主の代表たる取締役は反対の意向を表明する。

 

 という流れが考えられる。しかし、今回は株主の投票結果としてこの3人の参加が決まったわけだ。これは株主たちが中長期的に、石油メジャーでも環境配慮を十分した方が有利だと考えたということになる。企業はこれまで「株主価値最大」を目指していたのだが、儲けるだけではなく社会の維持や改善への尽力も「株主価値」に加わってきたとも考えられる。大げさに言えば、株式会社は株主のものだったが、社会の公器でもあることが表面に出てきたということだ。

 

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 そんなことを考えていたら、ちょっと変わった事件が起きた。それは昨年の東芝株主総会が「公正に運営されたものとは思えない」という調査結果が出たこと。昨年7月の株主総会に「物言う株主」が提案しようとした取締役選任議案を、経済産業省東芝経営陣が圧力をかけて取り下げさせたという疑惑である。調査に当たった弁護士らが「不公正」との報告を挙げたことで、今年の株主総会がどうなるか懸念される。

 

東芝の社外取締役4人、連名で取締役会と経営陣の刷新を要求 | 会社四季報オンライン (shikiho.jp)

 

 来週の総会に向け、社外取締役4名が「反旗」を翻したというのがこの記事。どうしてこんなことになったかと言うと、東芝という株式会社が、ある程度の比率で「政府のもの」だったことが疑われる。確かに東芝という企業は高い技術力やインフラ構築・運用の実績を持ち、ここに何かがあれば市民生活に影響が生まれたり、安全保障に影を落とす可能性がある。株主、社会全体に加えて日本国も、オーナーシップを持っているということかもしれない。では、それらの利害が対立した場合はどうなるのだろうか?

 

 この事件が今後どうなるか、「株式会社は誰のもの」視点で見ていこうと思います。