Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国交省、第四期技術基本計画(後編)

 事務方からの説明資料は、細かな文字や写真が並ぶ50ページほどのスライド。まず紹介されたのは技術研究開発課題(150以上)のうちの代表的なもの。もともとこれらの課題は、

 

1)安全・安心の確保

 1-1 防災・減災

 1-2 安全・安心かつ効率的で円滑な交通

 1-3 戦略的メンテナンス

2)持続可能な成長と地域の自立的な発展

 2-1 競争力強化(ストック効果最大、国際競争力、新市場創出)

 2-2 持続可能な地域及び都市のための社会基盤整備

 2-3 地球温暖化対策等の推進

3)技術情報基盤の整備

4)生産性革命の推進

 

 に区分されている。防災・減災は多分最優先事項、緊急地震速報の迅速化(25秒ほどかかっていたものを21秒に縮めた)やミリ波レーダーによる除雪車の運行安全性向上などが、写真入り数値入りで説明されている。戦略的メンテナンスの一環で、AIを用いた橋梁の予防保守事例も紹介された。激甚化する自然災害、老朽化するインフラと地方の資源不足からの要求に、技術で応えようというものだ。

 

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 僕自身は、技術情報基盤整備の中でオープンデータ政策としての「海しる」に注目した。日本近海の海洋情報を集約し地図上にマッピングしたもので、

 

海上安全

・自然災害対策

・海洋産業振興

環境保全

・国際連携協力

 

 などに役立つという。経済安全保障にも役立つとあるのだが、オープンデータなので仮想敵国や犯罪集団でも「情報活用」できてしまう面もある。何を誰にどこまで開示するかは、非常に難しい問題である。

 

 技術開発の大項目としては、

 

1)好循環を実現する環境の整備

2)我が国の技術の強みを活かした国際展開

3)技術政策を支える人材育成

4)技術に対する社会の信頼の確保

 

 ああり、この中では「信頼の確保」に注目した。国交省分野に限らず「IoT、AI、Big-Data」に代表される技術は、一般の人には懸念が大きい。技術そのものは開発できても社会実装までに時間がかかる理由の最大のものが「社会の理解と信頼」である。この項目の事例として、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)と交通ISAC(サイバーセキュリティ連携組織)が挙げられていたが、これではちょっと寂しい。

 先だっての「コロニアル・パイプライン事件」を見れば、信頼確保に向けた取り組みはもっと広範なものになるべきだと思います。