Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デジタル経済

脱紙処理、25年前の記憶(後編)

銀行のバックヤードを改革して、脱紙処理により真の情報産業になってもらう企みは、僕の失敗事例のひとつになった。「金融Big-Bang」の教えに従い、僕は銀行に情報産業になってもらいたかったのだ。 もう忘れかけていたその企みのことを、思い出させてくれる…

脱紙処理、25年前の記憶(前編)

金融機関、中でも銀行業界への逆風は激しさを増している。長引く低金利の上に優良な「借り手」が見つからない。今は「COVID-19」経済対策の政府マネーが流れ込んでいるからいいようなものの、それが切れれば「借り手」企業の倒産・廃業が急増しかねない。 一…

DXの戦術・作戦・戦略(後編)

IPAのDX認定制度申請チェックシートを基に、DXの作戦級のポイントを見てみよう。 1)企業経営の方向性、ICT活用の方向性を決める。 2)それらの具合的な方策を決める。 3)その達成状況に係る指標を決める。 4)実務執行総括責任者から必要な情報発信を…

DXの戦術・作戦・戦略(前編)

DX(Digital Transformation)が、企業の将来を決めると言われるようになって久しい。欧米の企業の成功例、特にGAFAのようなプラットフォーマーの事業拡大ぶりを見ていると、日本企業の遅れが目立つとの記事が多い。メディアはややセンセーショナルに書いた…

To Wake the DEAD

日本古代の「関ケ原」、壬申の乱の前に起きたのが天智天皇の死去。これは自然死ではなく、暗殺ではなかったのかとの疑惑はある。その結果、天智天皇の息子大友皇子と弟大海人皇子が争い、後者が勝って天武天皇として即位する。天智天皇の皇后が詠んだ歌に、 …

破天荒な人ゆえに

どこかの国では大統領経験者は片端から刑務所送りになるのだが、世界中を見渡して"Global & Digital"ビジネスで有名になった人が獄中死するということはあまり例がない。そんな珍しいことが、先週あった。亡くなったのはジョン・マカフィー被告。 セキュリテ…

システム障害・・・その責任は?

先日数次のシステム障害を起こし、ATMからキャッシュカードや通帳が取り出せなくなったメガバンクのひとつ「みずほ銀行」。カードや通帳をATMが食べたのは、吐き出して他人が持って行ってしまうのを防ぐためで、障害発生時のマニュアル通りのことだったが、…

データに関する権利

時代は「DATA Driven Economy」になっていると、何度か申しあげてきた。データというと個人情報の話ばかりが先行し、GAFAが僕らのデータを勝手に使って儲けているとか、デジタル庁はマイナンバーを使って市民のデータを集めようとしているなどという議論ばか…

テレワークからの揺り戻し

僕はすっかりテレワーク生活が定着してきて、例えば朝一番から出てこいと言われると、逆に戸惑うほどになった。西村大臣が業界団体に「7割テレワーク、テレワーク率の公表」を迫るものだから、大企業ではそれなりに定着していると思う。ちなみに「霞ヶ関の…

中国のサイバーセキュリティ事情

先日CNNICの「中国インターネット発展状況報告書」をご紹介したのだが、今日はその続編として中国CERTが公開した「2020年上半期サイバーセキュリティ分析報告書」をご紹介したい。日本では最近も、5年前にJAXAや関連企業に中国人民解放軍の関係者がからんだ…

デジタル課税はどうなるの

G7財務大臣会合が終わり、争点となっていた法人税の最低税率は15%ということで決着したらしい。各国は「COVID-19」対策で財政出動をしており、大幅な財政赤字を抱えつつある。その穴埋めは、米国バイデン政権に代表されるように、 ・富裕層のストック増税 …

WEFのDFFT白書

先週G7でのDFFT議論の状況を紹介したが、関連してWEF(World Economic Forum)が3月に白書を公表していることを教えてもらった。タイトルは「Rebuilding Trust and Governance : Towords Data free Flow with Trust」である。大雑把に言えば、データ流通を…

情報産業としての製薬業

「COVID-19」禍で一躍注目が集まった産業が「製薬業」、日本のメディアは科学技術力の高い日本産業でなぜ「COVID-19」ワクチンが作れないのかと日本の製薬業を責める論調もある。彼らに責任を負わせるような報道は、いくつもの理由で誤っていると思う。 ・感…

中国のインターネット利用

中国の人口が今年あたりでピークをつけ、これからは人口減少社会に向かうと言われている。過去の一人っ子政策の影響もあるが、歴史人口学者エマニュエル・トッド教授によれば「女性の識字率が上がれば、特称出生率が下がる」のだから、仕方がないこと。 そん…

欧州が示したAIの定義

何度か欧州が先行する「AIの規制」について、ちゃんとした定義なしに議論が進んでいることに危惧を表明した。頭の固いドイツ人に、文句を言ったこともある。これまでの定義論をまとめてみると、 1995年頃「一般的に推論や学習などの人間の知能に関連する機能…

G7でのDFFTの議論

世界経済は「DATA Driven Economy」の時代に入ったと言っていいだろう。「COVID-19」禍はあっても、経済成長している産業は何らかの形でデータの活用に成功したものだ。データの活用については4段階のステップがあることは、何度かご紹介してきた。その第一…

許容できないリスクのあるAI

「欧州AIパッケージ」の規制部分の中核をなすのが「AI法案」、それがAIを何のためにどんな方法で使うのかによってリスク強度を4段階に分けていることは以前紹介した。今日はその4段階のなかでの最高リスク、許容できないリスクのあるAIについてコメントし…

半導体なんてそんなものさ(後編)

僕自身は半導体産業にいたわけではないが、企業内で大学の先輩の多くが半導体事業部門にいて、幹部も少なくなかったことから時々事情は聞いていた。後に全社の事業を見る部門に移って、半導体事業部門のボラティリティの高さを経営層が嫌っていることも知っ…

半導体なんてそんなものさ(前編)

米中対立の争点としての台湾に、世界の半導体産業のチョークポイントがある。何度かご紹介しているTSMCという巨大企業がいるからだ。世界的にデジタル機器の需要が巣ごもりもあって急増、PC・スマホだけじゃなく自動車も半導体をたくさん使う。加えて米国テ…

欧州AIパッケージの登場

3年ほど前から、欧州委員会ではAI(人工知能)によるイノベーションを考えながらも、どうやってAIのリスクを抑えるかの議論を続けていた。例えばAIに倫理を求めたり、利用企業に説明責任を求めたりした。「なぜ、どうしてこういう結論になったのですか?」…

Cold Caseに挑むオンラインフォーラム

「紀州のドン・ファン事件」に続いて「茨城一家殺傷事件」でも容疑者が逮捕されたが、いずれも直接証拠があるかどうかわからず、公判維持はどうなるのか(裁判員になる可能性もないのに)僕は勝手に悩んでいる。世界でも優秀な実績を誇る日本の警察機構だが…

サイバー反撃の中身を知りたい

米国最大の石油パイプラインが止まった事件、とにかくパイプラインは復旧したようだが、消費者側のガソリンスタンドでの混乱は週明けまで続くと言われている。バイデン大統領も市民に「必要以上にガソリンを買い占めないように」と呼び掛けている。実際に供…

コロニアル・パイプライン事件のその後

一昨日「事業継続こそ重要」として米国で石油パイプラインが停止した事件のことを紹介したのだが、その続報が入ってきた。すでに犯行集団「ダークサイド」が「目的はカネで社会に混乱をもたらそうとしたものではない」との声明を出したことは紹介している。…

事業継続こそが重要

内閣官房参与の高橋洋一氏が「COVID-19」禍のことを「さざ波」と発言して、厳しい世論にさらされている。確かに年間3,000以上死者の出るインフルエンザは、この1年ほとんど被害がない。それと相殺すれば「COVID-19」の現状などで大騒ぎするなと言う、マクロ…

21世紀のマルクス

このところボン大学マルクス・ガブリエル教授の記事が目立つ。「若き天才哲学者」と呼ばれる彼は、「新しい実在論」を提唱している。僕には哲学を理解する知見はまるきりないのだが、表層的な意見だけを聞いているとデジタル屋にとっては困ったお方のようだ…

見逃されている2つの問題

5G投資が重かったようで、楽天が資本増強に努めている。日本郵政との提携だけでなく、中国IT大手テンセントの子会社からも資本を受け入れた。テンセントは言うまでもなく、中国「国家情報法」や「サイバーセキュリティ法」の施政下にある企業。出資者として…

28億人のデータ追跡

先週久しぶりの「日欧ICT戦略WS」がオンライン開催された。「COVID-19」以前は東京とブリュッセルで交互に開いていたのだが、渡航が難しくなって昨年来オンライン形式になっている。リアル開催の時は丸一日か、少なくとも午後一杯くらい(3~4時間)は両国…

ICSCoE中核人材育成プログラム(3/終)

最後に「ICSCoE卒業生は役に立ったか」については、役に立つような環境整備を経営層に求めたいという切り返しがあった。サイバーリスクは無くならない、厳然として存在するからこそ、 「経営層にはリスクを正しく恐れることのできる組織構築を望む」 とのこ…

ICSCoE中核人材育成プログラム(2)

このプログラムはすでに3期までの卒業生が巣立ち、現在は4期生が卒業研究に取り組んでいる。200名ほどの卒業生は「叶会」というOB会も組織して、いろいろな情報交換を行っていると聞く。今回各期の卒業生から選ばれたOBが、パネルディスカッションに登壇す…

ICSCoE中核人材育成プログラム(1)

サイバーセキュリティは経営課題だと、経営層の意識を高めてもらう活動を経団連も霞ヶ関も続けている。ヒト・モノ・カネを投じても、それ自体ではリターンは生まないわけだから、経営者が意志を持ってやらなければすぐにコストカットの対象となり組織も雲散…