Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

中国のインターネット利用

 中国の人口が今年あたりでピークをつけ、これからは人口減少社会に向かうと言われている。過去の一人っ子政策の影響もあるが、歴史人口学者エマニュエル・トッド教授によれば「女性の識字率が上がれば、特称出生率が下がる」のだから、仕方がないこと。

 

 そんな中国で、インターネットがどのくらい使われているのか、どう使われているのか、国家機関であるCNNIC(中国インターネット・ネットワーク・インフォメーション・センター)が年に2度ほど出している報告書が示してくれる。その最新版「第47回中国インターネット発展状況報告書(2020.12)」を紹介してもらった。

 

 なにより驚かされるのはやはり利用者数。9.89億人とほぼ10億人に達しているが、その99.7%は携帯電話によるモバイルユーザだという。タブレット・TV・PCの接続数は、前回報告(2020.3)から20%以上減っている。さらに一人が1週間にどれくらい接続していたかという時間も、前回は31時間ほどだったものが26時間と減っている。落ち着いてPCの前に座って作業をするというより、出先であるいは移動中にちょっと何かするというように使い方が変化しているのだろう。

 

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 では何に使っているかというと、御三家は、

 

・インスタントメッセージ

・決済

・買い物

 

 で、いずれも増加傾向。しかしその他のアプリ(検索・ニュース・音楽・ゲーム・出前・教育)は減少していて、特に教育は20%近く半年強の間に減った。これも「落ち着いてから出先でちょっと」という変化を裏づけている。

 

 ところで中国の14億人は、9.5億人の農民戸籍の人と4.5億人の都市戸籍の人に分かれるとも聞いた。この報告書でもインターネットを使っていない4億人強の多くは農村在住の人(おおむね農村戸籍)だという。ただその数値にちょっと解せないところがある。

 

 農村・都市と合わせて4.16億人の非インターネット人口がいて、農村では62.7%がそうだとある。農村戸籍9.5億人の62.7%だと約6億人。前記4億人強を5割も上回ってしまう。調べてみると、農村戸籍のまま都市で働いている人(農民工)が3億人以上いる。これを農村人口から引いて、6.5億人の62.7%は4.08億人。これなら分かる。

 

 中国を「戸籍アパルトヘイトの国」と呼んだ人もいました。その実態は僕らには分からないままです。