先週G7でのDFFT議論の状況を紹介したが、関連してWEF(World Economic Forum)が3月に白書を公表していることを教えてもらった。タイトルは「Rebuilding Trust and Governance : Towords Data free Flow with Trust」である。大雑把に言えば、データ流通を促進するためには「トラスト」が必要で、それを得るためにはちゃんとした「ガバナンス」が求められるという事だ。
イスラエルとパレスチナの紛争、ミャンマーの軍事クーデター、米国内での人種差別・ヘイトクライム騒ぎなど、相互の信頼関係が壊れていることが事態の解決を難しくしている。日本国内でも「COVID-19」禍での緊急事態宣言、時短や休業要請に従わない店、路上飲みをする人たちなど、政府を信頼せず政府からの統治を受け入れない状況が報道されている。この白書の「トラスト&ガバナンス」は、デジタル経済だけではなく、社会全体の平常化に向けて必要となるキーワードである。
それでは、どうやって「トラスト&ガバナンス治」を取り戻すのか?白書自身は(日本語版を見せてもらったのに)非常に難解。出来る限りで要約してみると、
・第四次産業革命(デジタル革命)では、従来のトラスト構築スキームは不十分。
・AIなどの新技術が社会構造を変え、従来のガバナンス機構は役に立たない。
・データの流通が革命の必須条件だが、不安から流通を止めようとする人もいる。
・新しい「トラスト・ガバナンス・フレームワーク」が求められる。
・WEFは上記フレームワークによる、アジャイルな信頼再構築を提案する。
というもの。ポイントはそのフレームワークなのだが、
1)市民・ユーザーの期待を把握する。
2)その期待の達成を積み上げ、それを衆知する。
3)その達成は実効的なガバナンスによって担保される。
4)ガバナンスそのものも市民からのトラストで成り立つ。
というループを繰り返す(1⇒2⇒3⇒4⇒1)ことで出来上がるというもの。白書には複雑なフロー図が示されているが、これそのものの結構難解である。
まずはこういう提案があったことを覚えておいて、直近の課題(例:ワクチン接種予約でマイナンバーが使えないのは何故?)に適用して、どうすべきかを考え直すヒントにしたらいいでしょうね。