Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

欧州が示したAIの定義

 何度か欧州が先行する「AIの規制」について、ちゃんとした定義なしに議論が進んでいることに危惧を表明した。頭の固いドイツ人に、文句を言ったこともある。これまでの定義論をまとめてみると、

 

1995年頃「一般的に推論や学習などの人間の知能に関連する機能を実行する機能ユニットの機能」とされていた。最近「知識とスキルを取得、処理、適用するための設計されたシステムの機能」という提案がISOから出されている。

 

 しかし欧州側はこれでは不十分(狭すぎる?)だとして「AIはデータ・アルゴリズム・コンピュータの能力を結合する技術の集合体」だと言い出した。

 

欧州委「AI白書」を巡る議論(3/終) - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 これじゃいくら何でも広すぎる。「データを自ら収集し、それに基づいてアルゴリズムやルールベースまで自動的に書き換えるシステム」くらいにしろと言った。その後「COVID-19」禍もあって欧州側と話し合っていなかったのだが、今回「欧州AIパッケージ」が公開されたことで、その中の定義(案)を知ることができた。

 

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 それは、

 

◆AIとは以下に示す技術やアプローチの一つ以上を用いて開発され、人間が定義した目的に対して、コンテンツ、推奨、予測または相互作用する環境に影響を与える決定などをアウトプットとして生成することができるソフトウェア。

1)深層学習を含む多様な手法を用いた機械学習アプローチ

2)論理・知識ベースのアプローチ

3)統計学的アプローチ

 

 というもの。多少マシにはなったものの、統計学的アプローチなどAI以前からアルゴリズムを考える時に当たり前のように使っている。市民の不安を払しょくするためか、相当広めに網を掛けようとしているのが分かる。万一この網(定義)から漏れたシステムで事故があって、糾弾されてはいけないということかもしれない。

 

 ちなみにOECDの定義は「人間が定義した目的のために、現実や仮想の環境に影響を与える予測、推奨、決定を行うことができる機械ベースのシステムで、様々なレベルの自律性をもって動作するように設計されているもの」となっている。OECDの定義を参照したと言っていますが、これをそのまま使えなかったのは、どうしてなのでしょうね。