Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

核兵器と向き合う時代

 今年の米国アカデミー賞は、原爆開発者だったオッペンハイマー博士の半生を描いた「オッペンハイマー」が7部門で受賞し話題をさらった。冷戦終結後、世界が本気で核戦争を懸念し始めた時代を、象徴した選考結果である。

 

 プーチン大統領はつい最近も「核戦争の準備は万端」とメディアに語り、核大国ロシアの力を世界に誇示している。実際、経済力や通常戦力では、隣国中国に全くかなわない。

 

ロシアの仮想敵国 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 で紹介したように、極東や中央アジアで中国が何かしてきたら、核戦力で対応することをずっと考えてきたわけだ。「準備は万端」なのは、すべての核兵器保有国がそうなのであって(*1)ことさらに言う方がおかしいが、現時点では世界市民に認識させるべく繰り返し発言しているのだろう。

 

プーチン氏「核戦争の準備万端」 - Yahoo!ニュース

 

 これに対し、米国でも共和党の下院議員が、ガザ紛争を終わらせるために核兵器を使う選択肢を表明(*2)して、物議を醸している。

 

    

 

 そんな時代背景もあったのだろう、NHKBSで1964年の映画「博士の異常な愛情」が放映された。米軍の狂信的な指揮官リッパー准将が核戦争を独断で始めようとする話で、良識派の英軍大佐、米国大統領、やはり狂信的な核兵器開発者のストレンジラブ博士の3役を演じたピーター・セラーズの男優賞はじめ、アカデミー賞で4賞を獲得している。

 

 作中准将がいう「戦争は政治家に任せてはおけなくなった」との発言は、恐ろしい。加えて偶発的な戦争が迫る中、事態を収めようとする大統領にタージソン将軍が「これを機会にソ連を先制攻撃しましょう」と迫るシーンは、もっと恐ろしい。のちに「パットン将軍」で凛とした主人公を演じたジョージ・C・スコットは、本作ではややコミカルだが邪悪な将軍を好演した。

 

 改めて核兵器と向き合う時代になりました。僕らはもう老い先短いのでいいですが、若い人たちは大変でしょうね。

 

*1:「配備しましたけど、準備してません」では、先制攻撃を喰らっても何もできない。準備しないくらいなら、開発・配備などすべきでない

*2:ガザ情勢で原爆言及した米議員 「早く勝つ必要」の比喩と弁明 | 毎日新聞 (mainichi.jp)