Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

見逃されている2つの問題

 5G投資が重かったようで、楽天が資本増強に努めている。日本郵政との提携だけでなく、中国IT大手テンセントの子会社からも資本を受け入れた。テンセントは言うまでもなく、中国「国家情報法」や「サイバーセキュリティ法」の施政下にある企業。出資者としてのテンセント経由で、中国共産党からの影響を受ける可能性を否定できない。

 

日米、楽天を共同監視 中国への情報流出を警戒 | 共同通信 (kiji.is)

 

 の記事にあるように、日米政府はこの点を重視し楽天を「共同監視」することにしたらしい。これも、先の日米首脳会談の関連で決まったことだろう。テンセントの楽天への出資額は657億円、これは同社の株式の3.65%にあたる。まあ、大株主と言えるだろう。記事の副題にもあるように、楽天が持つ情報が中国へ流出することへの危惧があって、日本政府は外為法の規定に基づいて同社から定期的にヒアリングするとある。政府って、管掌しているのはさきごろ東北新社やNTT接待などで大揺れの総務省だよね。大丈夫だろうか・・・。

 

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 これに対して楽天からは「テンセントの出資は純出資なので、個人情報へのアクセスはできない」と主張している。この記事を読んで、記事が見逃したことが2点あると思った。まず本件でのリスクについて、楽天が「個人情報流出」に限っていること。サイバーセキュリティはよく「個人情報流出対策」と思われがちだが、これは下記の2項目で間違っている。

 

・リスクは個人情報だけではない。社会のあらゆる情報(交通量など)が対象だ。

有識者は情報流出対策よりも、事業継続を重視する。社会機能マヒが一番怖い。

 

 そしてもう一つ見逃しているが、楽天資本提携した日本郵政と言う古式ゆかしい巨人。デジタルリテラシーが高いとは思えず、かつ日本社会に深く根付いている企業体である。楽天経由でテンセントが日本郵政グループに何らかのアクションができるとすれば、これは個人情報流出程度のリスクとは2桁3桁違うものではないか?

 

何かが霞ヶ関の地下で蠢いている - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 共同通信さんとしては紙幅が足りなかっただけかもしれないのですが、もし見逃していたのだとすると問題は大きいように思います。これが僕の「単なる杞憂」であればいいのですが。