Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

28億人のデータ追跡

 先週久しぶりの「日欧ICT戦略WS」がオンライン開催された。「COVID-19」以前は東京とブリュッセルで交互に開いていたのだが、渡航が難しくなって昨年来オンライン形式になっている。リアル開催の時は丸一日か、少なくとも午後一杯くらい(3~4時間)は両国の官官民民4者で会合していた。4者参加は変らないのだが、オンライン形式で4時間は辛いというわけで、今回は2日に分けて日本時間で午後4~6時の間(ブリュッセル時間では朝8~10時)に設定されていた。テーマは6つ、

 

・Beyond 5G

・Cybersecurity

・Smart-City

・Platform

・Data

・AI

 

 大きくくくれば社会全体をどうDXするのか、その目的のための手段として何を選ぶのかという話である。全体としてデータをどう集め・守り・活かすかということだと思う。2日間にわたり多くのプレゼンテータが、持論や取組、要望を述べた。参加者は全員「データがもたらす経済効果」を期待していて、そのために規制緩和や社会的容認を求めていた。

 

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 それはいいのだが、以前から特に欧州の市民に根強い「個人情報濫用」に関する危惧がある。これが、欧州の個人情報保護制度(GDPR)の厳しさにつながっている。日欧EPAを締結している関係上、日本企業も欧州市民の個人情報を扱う場合はGDPRの対象になる。

 

 そんな議論が続いている中で、GAFAの一角「Facebook」で個人情報保護が不十分ではないかとの疑惑が持ち上がった。

 

米大学生が暴露した「フェイスブックの行動追跡」の衝撃的内容 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 

 もちろんデータ活用については設定ができ、同社外でのアクティビティを削除することもできるのだが、そうしても同社は個人のトレースを続けていると告発者は言う。これについては「ウラ」が取れているわけではないので現時点では疑惑にすぎないが、先日も5億人以上のデータが漏洩していることもあって、28億人のユーザ全員が危惧を持つ可能性もある。

 

 「Facebook」は政治的な言論を左右できるほどのメディアであり、これが意図的に歪められるようでは「社会全体の脅威」となりかねない。最初は女子学生の評価をする内々のツールだったのだが、今では重要な社会インフラとなっている。その社会的責任は、先進国だけでなくすべての国で果たされるべきですよね。