Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

21世紀のマルクス

 このところボン大学マルクス・ガブリエル教授の記事が目立つ。「若き天才哲学者」と呼ばれる彼は、「新しい実在論」を提唱している。僕には哲学を理解する知見はまるきりないのだが、表層的な意見だけを聞いているとデジタル屋にとっては困ったお方のようだ。この1週間の代表的な記事だけピックアップしても、

 

「アメリカの弱さ、中国の強さ」マルクス・ガブリエルが考える分断の根源 | Web Voice (php.co.jp)

 

「日本はスマホに支配された異常な国だ」天才哲学者がそう断言する理由 マルクス・ガブリエルは警告する | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

若き天才哲学者が「SNSのアカウントはすぐに削除すべきだ」と真剣に訴えるワケ SNSは私たちを窒息させてしまう | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

 という次第。ガブリエル教授は自らの「新しい実在論」はインターネットによって生まれたといいながら、

 

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・インターネットは民主的でなく、人類をクリエイティブにはしない。

・市民はGAFAを活用しているつもりで「タダ働き」をさせられている。

・機械はうまく働くが信用できず、自動化が経済崩壊をもたらす。

・各国で進行する新自由主義は、人間性を捨象したシステムである。

・トランプの保護主義EUの瓦解などは、グローバル化への不安から起きた。

 

 と手厳しい。AIなどもってのほかのようで、必ず人間が倫理に基づいて判断しなければいけないという。なるほど「AI倫理」という言葉は、この辺りから発せられたのかと納得してしまった。自動化がAIの一番役に立つところなんだけれどね・・・。

 

 自身もSNSを使っていたが「COVID-19」騒ぎの中、全部止めたという。SNSは自己表現をする場としてのメリットより、社会に対しての害悪の方が大きいとの判断らしい。その考えが「タダ働き」という言葉にあらわれている。彼は、まるきり「21世紀のマルクス」のように感じる。

 

 全く偶然だが、先日ガブリエル教授のインタビュー本を読み、別ブログで内容を紹介している。

 

EUに感じる違和感の源泉? - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 とても理解することができない部分も多かったのですが、こういう考え方もあるのだと認識した上で、Global&Digital政策を欧州委員会の人達と議論しましょう。