Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

システム障害・・・その責任は?

 先日数次のシステム障害を起こし、ATMからキャッシュカードや通帳が取り出せなくなったメガバンクのひとつ「みずほ銀行」。カードや通帳をATMが食べたのは、吐き出して他人が持って行ってしまうのを防ぐためで、障害発生時のマニュアル通りのことだったが、それにも非難が集まった。多分大規模な障害だったからだろう。

 

 それらの事象の責任をとるべきだと、藤原頭取の引責辞任にまで話が及んでいる。システム障害でTOPが辞めるのは、日本のこれだけ大きな企業だとずいぶん珍しい。経営者のクビが飛びやすい米国では、システム障害での引責辞任はよくあること。日本も、それに近づく傾向にあるようだ。これはDXと呼びたくはないが。

 

 「みずほ銀行」ではかつての合併以来、複数のベンダーが混在してシステム統合に手間取ったこともあるが、基本的には銀行主導でシステム開発・運用がされている。だから責任も(ベンダーに相応の賠償請求するかもしれないが)銀行自身がとったわけだ。

 

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 ただ昨今のシステム事情は、銀行システムのように「垂直統合」されているものの方が珍しい。インターネット上にミルフィーユのように多層にわたるサービサーがいて、それらをいろいろなアプリケーション・企業・個人が選んで使っている「水平分業」がデジタル社会の特徴だ。

 

「知られざる企業」で起きたシステム障害は、こうして世界中でネットワークを“停止”させた | WIRED.jp

 

 先日も有力なコンテンツ配信ネットワークCDN)プロバイダーの「Factly」で障害が発生、1時間余りで復旧は出来たものの、広範囲な事業者に影響が出た。Hulu、GitHubPayPalなどの人気サイトや、CNN、BBC、Financial Timesなどのメディアも障害に巻き込まれた。多くの人が名前を知らない企業がコケても、市民生活に支障が出るのだ。

 

 10年ほど前、ある中小旅行社のシステムがダウンした。クラウドを活用していたのだが、クラウド事業者はサーバー等は自前で持たず、某電力会社のサーバーを借りていた。国交省が原因究明に乗り出したとき、ちょっとお手伝いさせてもらったが、3社間の契約が古いまま放置されていたのが、事態を悪化させた遠因だった。

 

 こんな話は今後も世界規模で増えるでしょうね、サイバー攻撃もあり得るし。契約をちゃんとすることもですが、水平分業時代の責任議論は必要ですね。