Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「いちご白書」をもう一度

 WWⅡ後ずっと米国はイスラエルの同盟国であり、最大の後ろ盾だった。イスラエルへの制裁などが国連安保理で決議されるのを、なんども拒否権を使って阻止してきたし、莫大な軍事援助も続けている。その背景には、在米ユダヤ系団体の強力なロビーイング能力がある。かの団体の影響力は政界だけでなく、産業界や学会にも広がっている。大学も、ユダヤ系団体の意向には逆らえないのだ。

 

 しかしガザ紛争が長期化して、パレスチナの人たちの悲惨な状況が伝えられるようになって、特に若い世代の米国人に「反イスラエル、親パレスチナ」の感情が高まってきた。全米の大学で、イスラエルへの援助を続けるバイデン政権への批判が高まり、抗議デモも大規模になっている(*1)。

 

        

 

 コロンビア大学は1968年にベトナム戦争を支持する機関と大学の関係が明らかになったことをきっかけに、大規模な抗議運動が起きたところ。このとき渦中にいた19歳の学生ジェームズ・クネンが「いちご白書」というノンフィクションを書き、これを原作とした映画も作られた(*2)。

 

 この時の抗議運動も、大学側の意向を受けたニューヨーク市警によって強制的に排除されている。今回は、米国自身が参戦している戦争ではないのだが、弱者に共感する学生の強い意志が、二度目の「いちご白書」を推し進めているように見える。

 

 かの時代と違うのは、圧倒的な量の情報がリアルタイムに学生たちに届くこと。また抗議運動の状況もリアルタイム配信できることだ。抗議運動はあっという間に過激化していくだろう。すでに「シオニストは生きるに値しない」とのメッセージ(*3)すら一部学生から発信されている。

 

 しかしユダヤ系団体からの圧力を受けている大学側も、引くに引けないでしょう。このまま抗議活動はエスカレートして、悲劇を呼ばないことを祈りたいです。

 

*1:米コロンビア大学、学長への支持表明-抗議デモ受け辞任要求強まる - Bloomberg

*2:いちご白書 - Wikipedia

*3:「シオニストは生きるに値せず」 米コロンビア大のデモ主導者、大学出入り禁止に - CNN.co.jp