Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

半導体なんてそんなものさ(前編)

 米中対立の争点としての台湾に、世界の半導体産業のチョークポイントがある。何度かご紹介しているTSMCという巨大企業がいるからだ。世界的にデジタル機器の需要が巣ごもりもあって急増、PC・スマホだけじゃなく自動車も半導体をたくさん使う。加えて米国テキサス州の大停電と、日本の茨城での工場火災は、自動車の生産調整を強いるまでになった。

 

 10年前の東日本大震災のおりにも、茨城の事業所が操業できなくなり、あのトヨタすら生産停止に追い込まれた。普通一事業所が停止してもいいように分散発注するのだが、1~4次下請けまでは分散していたものの5次下請け(Tier5)は全部この事業所だったのだ。トヨタの調達部門も、さすがに5階層下までは意識していなかったらしい。

 

自民半導体議連、甘利・安倍・麻生の「3A」結集に憶測も - 産経ニュース (sankei.com)

 

 このたび自民党内に「半導体議員連盟」が発足したとの報道があった。経済社会に大きな影響を半導体産業が与えるとして、甘利先生を会長に安倍前総理・麻生副総理が最高顧問に就くという体制を組んだ。

 

    f:id:nicky-akira:20210522095507j:plain

 

 この記事のように「3A」が結束して次期政局をにらむという見方もなくはないが、僕は産業界の人間として素直に喜んでいる。今、デジタルと安全保障の両面に一番知見をお持ちなのは甘利先生だし、総理経験者が2人バックに付くのは本気度の現れだ。初回の議論では、日本の経済安保の基盤をなすものとして、4分野が挙げられた。

 

・データ保存用のメモリー

・CPUなどのロジック

・センサーやA/D変換を含むアナログ

・電力制御等のパワー

 

 である。国に重要な産業という事で「対策は異次元のものになる。ここに麻生財務大臣が座っていることで目標はかなり達成されている」と安倍前総理は語ったという。対策とは要するに、産業への助成金ということだろう。

 

 半導体産業はかつては「産業のコメ」ともてはやされた時期もあったが、儲けすぎて「日米半導体摩擦」を産み、日米半導体交渉以降は日陰者扱いされてきたように思う。産業界は以前から半導体産業の空洞化に対する懸念を訴えていたが、ようやく振り向いてもらえたという感じだ。

 

<続く>