Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

もうひとつの「三原則」

 昨日の「防衛装備品移転三原則」について、一言追加。移転にあたっては厳密な審査も必要だし、紛争当事国には行えない規定だったはず。そう聞いたらある識者は、「紛争当事国の定義は、国連安全保障理事会が認めた国となっている。今回、安保理は議長国ロシアの拒否権で流会したから、ウクライナは紛争当事国ではない」と応えてくれた。うーん、ロシアのおかげで「装備品移転」ができるなんて、皮肉だね。

 

 この識者との話は、もう一つの三原則である「非核三原則」に発展した。これは1971年に定めた、核兵器を「持たず」「作らず」「持ち込ませず」という原則。先ごろ安倍元総理が「(米国の)核共有を日本でもタブー視せず、議論すべき」と発言して物議を醸した。多くの野党が「非核三原則を無視した暴言」と非難している。

 

    f:id:nicky-akira:20220306114617j:plain

 

 「キューバ危機」以来の「核の脅威」を演出したのは、もちろんプーチン大統領ウクライナ戦線の進捗がはかばかしくなく、通常戦力の意外な弱さに直面した彼は「ロシアは核大国だ」と欧米諸国を恫喝した。加えて、日本の隣には米露両国に核戦力でも迫ろうと核を量産している国もあるし、毎週のようにロケットを撃ってくる国もある。このように変化している国際情勢に対し、米国の核兵器のオペレーションを米国と一緒に出来るようにする「核共有」の議論は、僕はやはり必要だと思う。

 

 三原則のうち「持たず」「作らず」は多分そうなのだろう。しかし最後の「持ち込ませず」が守られているような気はしない。在日米軍(在韓もそうかも)が核兵器を持ち込んでいないという証明は、多分できない。

 

原子力潜水艦の意味 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 で述べたように、戦略原潜は母国に何かあった時反撃するために出航している。いつ起きるか分からない事態に対して反撃するためには、常時戦略核兵器を使える状態にしておく必要がある。南シナ海で任務に就いていた米国の戦略原潜が、補給や乗組員の休養のため横須賀に寄港するとしよう。当然戦略核を積んでいるのだが、日本に行くからとグアムに寄って核兵器を降ろすだろうか?

 

 いや横須賀基地は米国扱いだから「日本に持ち込んでいない」と応えるかもしれないが、少なくとも日本の領海は通る。「核共有」の議論をするなら、現実はどうなっているかを「共有」してから論じて欲しいものですね。