Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

核兵器による先制攻撃

 ウクライナの地で、75年ぶりにドイツとソ連の戦車が相まみえるかもしれない。ドイツ政府はウクライナへの軍事支援として、初めて重火器にあたり<ゲパルト対空戦車>を50両供与すると発表した。

 

◆ゲパルト自走対空砲

・重量 47.5トン

・乗員 3名

・速力 最大65km/h

・兵装 90口径30mm対空機関砲×2門、スティンガー対空ミサイル

 

 という仕様で、1978年に西ドイツ軍が正式採用し、ドイツでは2010年まで使用されていた。第二次世界大戦当時<FlakPzⅣ/20:通称ヴィルベルヴィンド>という20mm砲4門搭載の対空戦車があったが、それの後継のようなAFVだ。NATO各国の支援が強化されて、ロシア軍は苦しい立場に立たされてると思う。

 

 プーチン大統領はこれに対し、「他国が介入するなら、電光石火の対応を取る」と核の先制使用をほのめかす恫喝をして、NATO諸国らをけん制している。「他の国にはない兵器」という表現は、生物・化学兵器というよりは、やはり核兵器を指しているものと思われる。

 

        

 

 日本でも「核共有」の議論が必要だとの意見もあるが、総じて日本人は現状の核兵器の威力・運用・ルールなどには昏い。12年前に出版されたこの本、対象は中国・北朝鮮なのだが、核兵器の扱いについても言及があった。

 

11年前の安全保障論 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 ここで(今は亡くなってしまった)筆者に聞きたかったのは「核の先制使用に関するルール」について。<Not First Strike>と<Not First Use>の違いなど、どちらも核の先制不使用という日本語訳では分からないものだった。識者に聞くと、

 

・中国 あくまで敵の核攻撃に反撃するもので、先制不使用を宣言

・インド 先制不使用宣言をしているが、国内には見直しを求める声も

・米国 バイデン政権が先制不使用を宣言することを国内識者が抑止

・ロシア 国家の存亡の場合は、敵が通常戦力であっても核の先制使用はあり得る

・他の核兵器保有国 ほとんどは厳密に先制不使用と言っているわけではない

 

 という状況。中露間では善隣友好条約中に「核の先制不使用」があるというが、これは2国間条約にすぎない。日本がGWで浮かれている間にも、どこかで核兵器が牙を研ぎ始めているかも・・・困った事態です。