先週カムチャッカ半島沖で、M8.8という巨大地震が発生した。津波の影響はハワイや日本にも及び、久慈港で1.3mの津波が観測されたという。川を遡上する津波の映像は、東日本大震災以来のものだ。AIを使ったフェィク画像が多く投稿されたと言うが、これに関しては悪質というレベルではない。何らかの処罰を望みたい。
実質的な被害は無かった(*1)のだが、公共交通機関が長くマヒした。函館ではJR線、いさりび鉄道、市電、路線バスが全て止まったとの報道があった。市街地は標高が低く、東日本大震災でも1mほどの浸水があったところだ。

熱海でも東海道線が(JR東海側も東日本側も)止まり、新幹線を除いては移動手段がなくなり陸の孤島になってしまった。猛暑の中で避難をした人たちは、大変だったろうと思う。
では震源地、ロシアのカムチャッカ地方はどうかというと、工業団地に津波が押し寄せている映像は見ることができた。総じてニュース解説では「人口密集地でなかった」ことを不幸中の幸いと述べていたが、ルィバチーの原潜基地に関する報道はこれまで見ていない。
震源地に近いのだが、半島の西側にあるのがロシア最大の原潜基地ルィバチー島。
人気のロシア専門家小泉教授の近著「オホーツク核要塞」によれば、ヒロシマ型原爆の50倍の威力を持つ核弾頭16発を備えたSSBN(戦略核兵器搭載原潜)が4隻と、それらを護るためのSSN(攻撃型原潜)が複数配備されている。
このうち何隻かは外洋に出ていたろうが、半分ほどは埠頭に係留されていたはず。これらにどのような被害があったのかが気になる。津波は半島東岸から太平洋方面に主体が向かうので、半島西岸のこの島には高いものは来なかったろう。しかしその前の地震では、司令部施設や岸壁・埠頭その他に被害があった可能性はある。
被害の度合いによっては、ロシアの太平洋方面の作戦計画が変わってくるかもしれません。でも報道してくれるはずもありません。でも衛星画像で見たら分かることもありますよね、小泉先生。何か分かったらこっそり教えてください。
*1:避難中に事故で亡くなった人はいた