Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

企業の労務管理5段階(前編)

 「COVID-19」余波の経済縮小・雇用危機などに対して、政府の対応は正直迷走している。「雇用調整助成金」があまり機能していないからと、今度は休業者個人の新しい給付金を出すといい始めた。事業者への助成金との二重取りのチェックをどうするのかなど悩ましい課題は一杯だ。

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020051400537&g=soc

 

 中央政府は第二次補正予算を国会で通してそれで済むかもしれないが、実際に働くのは自治体の窓口。すでに特別定額給付金を早く払えと、市役所に包丁を持ち込んだ輩もいるくらい現場は混乱している。

 

 何度か、このような事業者や就労者への支援はスピードが重要と申し上げてきた。そのためには制度をシンプルにする必要がある。事業者への支援ならそれだけ、就労者への支援ならそれだけにすべきだ。このほかに失業者への支援はもちろん必要、だが就労者は事業者がしかるべく処遇することになっているのだから、それを守らせれるのが行政などの仕事である。

 

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 ただ実態は、それを守らない事業者が多数いることも事実。約40年産業界にいて、いろんな企業を見てきたからそれはわかる。今改めて企業が従業員をどうマネージしていいるかを考えてみると、5段階ほどに分けられるように思った。

 

(1)ほぼ労務管理なしの段階

 発展途上国の鉱山や、日本の明治・大正期の港湾労働者などを想定してほしい。16時間/日労働や児童労働が横行、安全管理などはない状態。過労で病気になっても危険作業でけがをしても自己責任。小林多喜二の「蟹工船」に描かれたような世界だ。

 

(2)労働法は成立したが導入段階

 日本では第二次世界大戦後、労働契約法・労働基準法労働組合法などが成立し、労働者の権利を守る「枠組み」はできた。ただこれを確実に実施できた会社は多くない。たいていの経営者は戦前の意識が染みついているから、「お上が作った法律だから仕方ないが、違法にならない程度に対応せよ」もしくは「バレなければいい」、「現場が困っているって?黙らせて知らんふりしておけ」ということになる。

 

 ちょうど過激な労働運動が横行した時期でもあり、イデオロギー対立も手伝って定着に至るには時間が求められた。ただでさえ新しい制度を浸透させるのには時間がかかるのだ。

 

<続く>