Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

債権回収産業の業容拡大

 先週、インフラメンテナンスという労多くして功少なく見える仕事をどう維持発展させるかという議論をご紹介した。目指すべきは「インフラメンテナンスを適正に利益の出る産業化する」である。

 

 債権回収という業務も、決して好かれることではない。返せないから返していない人も多く、そこからどうやって取り立てるかは、一歩間違えば「悪徳サラ金」のように見られてしまう。山口県阿武町の誤振り込み事件で「オンラインカジノで使ってしまった」お金を、かなりの金額回収できたという。これもどうやって回収したのかは分からない。

 

 債権回収も社会全体としては必要で「適正な利益の出る産業化」にしないと、方々に焦げ付きができて経済が停滞する。それは分かるのだが、明日閉会する予定の通常国会で「債権管理回収業に関する特別措置法:金融サービサー法」の改正案が掛けられていて、ろくに議論も報道もないまま成立するとも言われている。

 

コロナ禍で困窮者増えているのに 取り立て強化の改正法は必要か:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

 

        

 

 このような法律があることは薄々聞いてはいたが、時限立法でとっくに無くなっていると思っていた。元々はバブル崩壊後の不良債権回収のための「特別措置」。債権を買い取り(1件1,000円とも!)取り立てが上手ければ、莫大な利益を生む可能性があるビジネスだ。その業容が、すでに税金や奨学金の取り立てにも広がっていて、今回は公共料金等にも対象が広がるのだという。

 

 「COVID-19」禍対応で、さまざまな助成金・給付金・貸付金が投入された。特に無利子の貸付金が返せなくて、自己破産するケースが増えているという。雇い止めなどで困窮した人を救う目的の制度だが、無利子でも借金は借金。仕事に戻れず、返済のメドが立たない人も多い。

 

 うがって考えればこの法改正は、このような貸付金回収も民営化しようということではなかろうか?債権回収業者には、悪名高い消費者金融の流れを汲んだ事業者もいるらしい。まあ、技量はお持ちのはずだ。

 

 債権回収産業を育てようとする意図が見える法改正、とても「適正な利益」を求めたものではないと思います。以前は廃案になったそうですが、今回はどうなるのでしょうかね?