「COVID-19」対策追加に伴う日本政府の第二次補正予算案が、閣議決定されている。通常国会の残りは3週間ほどだが、野党も「徹底抗戦」はしないだろうから国会通過にも時間はかかるまい。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2020/05/2-238.php
予算案には、
1)雇用調整助成金の拡充
2)資金繰り対応の強化
3)家賃支援給付金の創設
4)学生支援給付金の創設
5)医療提供体制の強化
6)その他支援
7)予備費
が含まれている。今日は、2)資金繰り対応の強化について考えてみたい。中小・小規模事業者向け融資として、「日本政策金融公庫と商工中金の無利子・無担保融資規模を大幅に拡充。民間金融機関の融資規模も拡充」するとある。これまでは重要インフラなどを担う大企業には出資していた政府系金融機関だが、今回は中小企業にも「出資」するという。
融資と出資、金融機関等から企業にお金が流れるので似たように思えるのだが、その意味は全く異なる。金融の専門家に聞くと、「ご自分で企業に融資や出資することを考えれば分かります」との答え。つまり、
・融資
要するに貸金である。貸した方は、金利も元本も確実に回収しようと考える。だから融資を受けた企業に対しては、確実な事業運営を望む傾向にある。
・出資
これは投資である。場合によっては「投機」に近いかもしれない。株式を持った方は、配当も期待するが事業の拡大等による株式の値上がりが狙い。だから企業に対しては、冒険することを望む。
ということ。この傾向は、個人であろうが金融機関であろうが同じだという。今回は、「日本政策投資銀行、商工中金、日本政策金融公庫等において劣後ローンを実施するとともに、日本政策投資銀行、産業革新投資機構、地域経済活性化支援機構および中小企業基盤整備機構において出資等を実施」するともしていて、公的な金融機関が広く中小企業への「融資」だけではなく、「出資」するとことになる。
公的金融機関といえど事業者である。企業に対して確実な事業運営を望むのか、冒険(例えばDX先進企業になる)を望むのか、迷わないだろうか?当面は企業の生き残りという共通目標があるから矛盾は表面化しないが、のどもと過ぎたあとどうなるのか?ちょっと注目して見てみましょう。