Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

公務員の定年延長問題

 SNS上の#(ハッシュタグ)攻勢はなかなか恐ろしいものだと、今回痛感した。何しろ「#検察庁法改正案に抗議します」には、各界の有名人らが続々投稿、大きな世論になりつつある。ただ有識者が述べているように、「公務員全体の定年延長をするのが法案の趣旨」であって、批判をしている人はそれを理解していないとの非難も妥当だと僕は思う。法案の趣旨を改めて書くと、

 

 

・現在の60歳定年から段階的に65歳定年に引き上げる。

・民間で言う「役職定年」の制度も含む。

・60歳を越えて以降は年収はそれまでの7割程度とする。

 

 というもの。これなら既に民間でやっていることを、公務員にも適用するということだ。それなのにメディアは、

 

・黒川検事長は安倍政権になくてはならない人

三権分立を侵す、政権の横暴

・異例人事の裏で暗躍する官邸官僚

 

 と問題をあおり、「安倍総理が退陣した後、逮捕されないための布石」とまで言う人もいる。これに呼応したかのように有名人の#が流れてきたわけだ。

 

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 特定の個人や機関という範囲でなく、純粋に公務員の定年延長ということに僕は賛成だ。もともと、事務次官は1~2年が任期というのも良くないと思っている。どんなに優秀な人でも、重い組織を変えるには数年かかる。ある経営者が「日本型組織は変化を嫌う」と言っていたが、霞ヶ関も変化を嫌うのでTOPの任期を制限しているのではないかと思う。年次が重要な世界で、その年次でTOPが出ないのは不公平だから・・・というのは言い訳に過ぎない。

 

 昨年末に辞職に追い込まれた総務省の鈴木事務次官の件は特別としても、もっと長くTOPを務めてほしかったと思う人材は多い。例えば経産省の嶋田前事務次官。一度お会いしたことがあるが、非常に鋭い人だった。もちろん霞ヶ関キャリアは皆優秀なのだが、その中でも頭一つ抜けていた人である。

 

 キャリアの中心は東大文系というのが常識だが、彼は東大でも理系。しかも技官のではなく文官の試験に合格したというから驚いた。ただ噂では、6月に現職が退任する東京電力の会長職に推す声があるらしい。「福島第一」の対応など重い課題を背負った東京電力としては、内外に力を示せるTOPは不可欠。嶋田さんのような人に来てもらえればありがたいのではないか。まあ定年が今のままで、霞ヶ関はは一つのステップ、最後は民間で実力発揮というのも(民間としては)嬉しいことですがね。