日米の選挙にメディアの関心が向いている間に、ユーラシア大陸の両端で不穏な情勢になっている。ウクライナ戦線と38度線、この2つに密接にかかわっている米国が政治的機能不全だからだが、朝露同盟がレッドラインを超えるような動きを見せているのだ。
以前から噂のあった北朝鮮軍のウクライナ戦線への派兵(*1)を、ついにNATO(&米国)が確認した(*2)と報じられた。その規模はまだ1万人ほどだとあるが、ロシアに匹敵する陸上兵力を持つ北朝鮮である。その10倍でも派遣は可能だ。
この2年半でロシア側は、死者7万人負傷者40万人を出していると言われるが、それを補える10~20万人の北朝鮮軍が参戦したら、ウクライナ側は窮地に立たされる。かつてマクロン大統領が、フランス外人部隊の派遣をほのめかしたこともあったが、外人部隊程度の兵力では「焼け石に水」である。

そこで米国は「もし北朝鮮軍が本格参戦したら、これまでウクライナが求めていた長距離兵器の使用制限を外す」と警告した。現時点で即効性あるウクライナ軍支援の方法は、これがベストだ。しかしロシア側は<核の脅し>で対抗、ウクライナ戦線でのエスカレートがどこまで行くか懸念される。
日本としては、38度線の方が心配だ。北朝鮮軍本格参戦となれば、ウクライナは休戦中の「朝鮮戦争」の当事者になりかねない。その場合ゼレンスキー大統領は、米韓両軍に対して<第二戦線>を求めるだろう。平たく言えば、米韓両軍による北朝鮮侵攻である。
容易にそうはならないとしても、絶対にやめてほしいと思っているのは習大人。すでに見捨てた北朝鮮ではあるが、本当に窮地に陥れば援けざるを得ないかもしれない。そうすると、自動的にロシアの軍事同盟国になってしまい、NATOと本格的な戦争に突入、西側の支援を期待してチベット・台湾・香港で火の手が上がるかもしれない。
これがWWⅢへの、起こってほしくないシナリオです。さて、その時日本政府は・・・。