Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

5Gのアプリ開拓、中韓のケース

 トランプ先生が「Huawei排除」を言い出したのは、次世代通信5Gのインフラを中国企業に牛耳られ、通信内容を習大人に抑えられてしまうことを恐れたからだ。かつてエシュロンやプリズムで世界の通信を傍受していた米国は、情報戦で中国の後塵を拝することは避けなくてはいけない。

 

 国家安全保障分野ではそうなのだが、5Gなどの通信技術の開発・設備投資の多くは民間が担っている。例え米国といえども、民間は儲からなければ開発も設備投資もできない。儲かるためには5Gならではのキラーアプリケーションが見えてこないといけないと、以前にもご紹介した。

 

6G/Beyond 5Gの意義 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 僕自身も、上記の記事のような(4Gよりも)高性能の通信を活かすアプリケーション、要するに4Gじゃ出来なくて、5Gがどうしても必要な「用途」を探し続けている。今回、ある学会の研究者から、中国や韓国でどんな5Gアプリが議論されているか、聞く機会があった。彼女らによると、

 

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◆中国

 「COVID-19」対策で、新技術(5G、AI、ロボット等)の有用性がより認識され、従来「中国製造2025」に向け工業・製造業への5G適用が中心だったスタンスが少し変わり、医療・健康分野などにも対象を広げ、次世代移動通信技術としてのインフラ性が重視されてきた。

 

 そこで、24時間どこでも対応できる、オンライン診療・病院、オンライン手術、オンライン教育、非接触型(ウイルス対策やね)ライブコマースのネットショッピングがアプリ候補として挙げられた。

 

◇韓国

 まずは「Local 5G」で実用化を目指して、財閥系のスマート造船所・地方都市の自動運転シャトルバス・製造現場での部品検品をAIで行うマシンビジョンなどでスタートしている。やはり「COVID-19」の影響で、健康・医療分野での適用が有力視され、病院内を巡回する自動運転防疫ロボットが実用化されている。

 

 広域の利用では、ソウル市でバス・タクシー向け先端運転者支援システムが稼働している。さらにドローンによるインフラ維持管理・ロボット搬送付きの無人販売メタバースによる遠隔会議や社員教育・ARグラスを使った救急医療も期待されている。

 

 両国ともうなずけるアプリが多いですが、本当に4Gではできないのか、ちょっと意地悪く聞いてみたかったです。