Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

日米デジタル連携のUPDATE(後編)

 GDCP(Global Digital Connectivity Partnership)は、日米で協力してグローバルに安全な連結性や活力あるデジタル経済を促進することを目的としている。推進項目は3点あって、

 

1)第三国連携

 第三国向けのICTインフラ展開や人材育成に係る協力など

 対象地域はインド太平洋(FOIP)を中心としながら他の地域を含む

 

2)多国間連携

 ITU(国際電気通信連合)、G7/G20OECDAPEC等のマルチの枠組みにおける協力

 

3)二国間連携

 グローバルを視野に、5G・Beyond 5G(6G)に係る研究開発環境への投資等

 

 だが、中心は第三国連携。一帯一路政策とFOIP政策がぶつかる南・東アジアなどに、日米両国でICTインフラ敷設するなどしてかの国を中国依存から切り離すという考えだ。また多国間連携にITUという組織が入っていることが、いかにも「ICT政策」を掲げる総務省らしいところ。

 

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 GDCPは既存の日米IED(局長級会合)の枠組みを使い、その下にGDCP作業部会(課長級会合)を置いて推進するとのこと。IEDは年1回の開催だが、作業部会は数回/年開催できるという。

 

 じゃあここでどのようなテーマを論じるのかと言うと、GDCPの創設を含んだ今回の日米首脳共同声明「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」の別添文書2「日米競争力・強靭性(コア)パートナーシップ」にいくつかの記述がある。

 

・安全でOpenな5Gネットワークを推進

・次世代移動通信網を含むセキュアなICT網の研究開発・実証・展開等への投資促進

・パートナー国のサイバーセキュリティ能力を構築

・国際標準策定におけるICT専門家による連携および情報交換を強化

・気候変動緩和に貢献するICT技術等において協力

 

 気候変動からみの具体例としては、スマートシティ・省電力ICTインフラ・デジタルインフラ管理が挙げられていた。キーワードとしてはそれなりにカバーしているのだが、僕からは3点要望した。

 

・欧州に対して、AI政策パッケージについての懸念を伝える

・国際的なサイバー脅威が高まる中、日米のセキュリティ協力の強化

・DXの事例集めも含めて、社会全体のDXの促進策

 

 かつて日米IEDで、国境を越えるデータの事例集めをしました。今回はDX事例が集まってきて、世界に発信できればいいと思います。