Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

公共事業予算が使いきれない

 この夏も、世界中で自然災害が多かった。地中海やカリフォルニアでは異常高温による山火事、トルコや中国では大洪水。日本でもお盆休み期間に「梅雨の長雨」を思わせる大量の雨が降った。佐賀県嬉野市では、1週間で例年の降水量の半分が降ったという。九州・中国地方などで洪水や土石流が発生、合計7名の死者が出た。

 

 僕の住んでいる熱海での伊豆山土石流は「人災」の色が濃いが、それでもあれだけの雨が降らなければ20余名もの犠牲者は出なかったと思う。だから国交省は以前から「国土強靭化」に取組み、財務省の厳しい査定下でも予算をそれなりに確保してきた。しかし、その公共事業費が例年使いきれず、次年度に繰り越されるのが常態化いているとこの記事は言う。

 

20年度は4.7兆円、巨額の公共事業費を使い残す訳 | 岐路に立つ日本の財政 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)

 

        f:id:nicky-akira:20210818172332j:plain

 

・2017年度 2.6兆円

・2018年度 3.2兆円

・2019年度 3.9兆円

・2020年度 4.7兆円

 

 と繰越額が年々増えて、当初予算の6.0兆円(2021年度)の8割近くになる。使いきれない公共事業費は不要と言われるが、本来必要だから付けている予算のはず。使えない原因は、公共事業を委託される業者や発注する自治体の能力不足にあるようだ。

 

 いわゆる「土建業界」は人手不足、地元の名士の企業も多いのだが、今は経営者も高齢化して事業承継が上手くいっていない。経済学では、キャパシティのないところに公的予算をつけてもムダとなるのだが、土井教授も指摘しているように自然災害対応にやるべきことは沢山ある。またこの記事では取り上げていないが、道路・橋梁・トンネルなど現行インフラの保守にも公的資金は必要だ。

 

 だから「土建業界」以外に、この種の仕事を請け負える業態が必要だと僕は思う。つまり土木工学以外の分野(エレクトロニクス・デジタル)の参入がいるのだ。

 

インフラ保守と新技術の相性(後編) - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 しかしやってみると、なかなか難しいこと。デジタル等の新技術とインフラ現場のGAPは大きい。それでも上記のようなトライアルを急いで、現場と新技術の双方がわかる技術者の育成が急務です。ある程度進めばAI適用で、広く全国で使えるようにも出来るでしょうし。