総務省の人の基調講演は「5Gの世界」のイメージビデオを交えたもので、日本での5G規格の決め方、研究開発、実証実験から、彼らが「Beyond 5G」と呼んでいる6Gの構想に及んだ。その後日台の重要インフラ企業、ICTベンダー、ユーザー企業がプレゼンをし、Q&Aと議論が行われた。
この会合はチャタムハウス・ルールに基づいているので誰がどういうことを言ったのかは書けないが、僕自身はすごく勉強になった。まず「5Gセキュリティ」と言った時に、
・5Gネットワークのセキュリティ
・5G時代の(社会)セキュリティ
のどちらなのか、という問題提起があった。これは目からウロコの話で、僕などは当然後者だと思っている。しかし確かに、前者として自社のソリューションなり製品を売り込みたいと思っている人も混じっている。これでは、通訳が入ることもあってうまく意思疎通できないわけだ。
後者の「社会全体のセキュリティ」というのも重要で、4G時代までのようにインターネットにつながるのがサーバーやルーター、PC、スマホのように、ある程度インテリジェンスを持っていて制御可能なものばかりとは限らない。雑多なものが5Gにつながってくるのだが、ネットワーク事業者・エンドユーザー・それらの機器の供給者なども含めて、社会全体で安心安全をどう守っていくのか、事業者の枠を超えた連携が必要だと痛感した。
こんな問題提起をされたのも勉強になったのだが、僕が聞きたかったことは「台湾では5Gのアプリケーションとして何を重視しているか」ということ、以前紹介したように新技術の研究開発から普及にいたるには、「何に使ってもらえるか」という利用側が必要。その分野の事業規模がある程度大きくないと、普及促進のアクセラレータにならない。こういうものを「キラーアプリケーション」という。
https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/08/25/060000
結果として、台湾側でのある製造業の事例がいいヒントをくれました。こういう交流をどんどん広げることが、中長期的に社会全体のセキュリティを高めることになるはずです。参加させてもらって、ありがとうございました。