Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

経済安全保障の意味(前編)

 岸田政権の表看板は「分配:新しい資本主義」なのだが、一皮めくると「経済安全保障」という言葉が出てくる。担当大臣小林鷹之議員は、今年4月に自民党本部の会合で「DX with Security」をお話した時の座長だった人。その時期は野田聖子議員の議連にも呼ばれていて、政界がセキュリティに興味を持っていることがよく分かった。

 

 最近警察庁さんとも話をするようになって、フィッシング詐欺オレオレ詐欺のデジタル版の対処について意見を求められたりするが、僕自身はBtoC型ビジネスは経験がなく、セキュリティも個人向け犯罪については素人だ。

 

 やはり電力供給がとまるとか、列車が暴走するといった事態に対処する、重要インフラ防御がメイン。僕にとっては、サイバーセキュリティは個人情報漏洩対策というより、重要インフラの事業継続が中心なのだ。そういう意味で、僕は民間人ながら「経済安全保障」には比較的近いところにいる。だからこの話題が表に出てくることは歓迎なのだが、現時点ではどこに向かっているのか見えていない。

 

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 僕が関わった自民党デジタル政策本部サイバーセキュリティ研究会や、超党派のサイバー議連の活動以外に、自民党の「新国際秩序創造本部」というものがあって、

 

・本部長 岸田文雄

・座長 甘利明

・事務局長 小林鷹之

 

 というメンバーで構成されている。そこで来年の通常国会に「経済安全保障一括推進法(仮称)」を提出すべく議論を重ねてきたという。その中間とりまとめについて、この2つの記事が取り上げているが、トーンは大きく異なっている。

 

岸田政権の経済安全保障政策を検証(NRI研究員の時事解説) - Yahoo!ニュース

 

 こちらは「我が国の独立と生存及び繁栄を経済面から確保する政策」として好意的である。何が「安全保障」の範囲かというと、

 

・エネルギー

・情報通信

・交通、海上物流

・金融

・医療

 

 が5つの重要産業分野だとして、個々にセキュリティ対策や資源確保、量子技術等の先端技術開発、薬や半導体の国内製造、海底ケーブルやデータセンターの防御などの項目が挙げられている。ただ、ここにはエネルギー以上に自給率の低い「食糧」のことは取り上げれられていない。

 

<続く>