Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

さよなら「KODAK」

 高校生のころ、両親に無理を言って<Nikomart FTN>を買ってもらい、写真を撮り始めた。自宅で白黒フィルムの現像が出来るようにし、プリントは写真部の部室(暗室)を借りてやっていた。大学でも写真部に入り、全紙大のプリントを焼いて展覧会もした。まあ近隣の大学の写真部仲間を集めて、呑みに行っていただけだが。

 

 素人では、カラー写真は手が出ない。もちろん旅行に行ったような時は、カラーフィルムを使いたい。ただサービス版(50円/枚ほどした)では迫力がない。大延ばしするにはお金が足りない。そこで僕は、

 

・通常は、モノクロフィルム(ILFORD-FP4が多かった)の100ft巻きを使う。

・特別な時は、リバーサルカラーフィルムを使う。

 

 ようにしていた。リバーサルだと映写機を用意しておけば、大延ばし同様の効果がある。旅行から帰って、撮った写真で「映写会」を自宅でするのが、恒例になっていた。その時選んでいたフィルムが、コダクロームISO感度は100が標準で、のちに400も多用されるようになる中で、25と低感度である。つまりシャッター速度を1/4にするか、絞りを2つ開けるかしないといけない、難しいフィルムだった。

 

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 しかし渋い発色が大好きで、撮影の難しさは「腕でカバー」といきがっていた。そのコダクロームの製造元が、世界一のフィルムメーカー「KODAK」。懐かしい企業なのだが、その「KODAK」が倒産したとの報道があった。

 

いち早くデジタル化に着手したコダックがなぜ倒産? 成功したあとの「希望的観測」に抗う難しさ(1/4) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

 

 この記事は、フィルムの王者がいち早くデジタル化に着手しながら、ビジネスモデル転換に失敗して破綻したと言っている。フィルムで成功したゆえに、各部署が「アンバンドル化」されて独自の道を歩み、全体としての改革につながらなかったという。

 

 僕はアナログ時代の「垂直統合」型ビジネスモデルから、デジタル時代の「水平分業」型に転換できなかったからだと思っている。日本の製造業だって、未だに「垂直統合」に拘り、イノベーションが出来ずにいる。何度か自動車産業についてコメントしていますが、「KODAK」の轍を踏まないように経営者の方は考えていただきたいものです。