いち早く「COVID-19」騒ぎを脱した中国経済は、今年もかなりの+成長を見込んでいる。中でもデジタル産業の伸長は大きい。すでに昨年の時点で、
1位 米国 約13兆ドル
2位 中国 約5兆ドル
3位 ドイツ 約2兆ドル
4位 日本 約2兆ドル
と米国に迫る勢いだった産業規模だが、今年はもっと差を縮めるだろう。主として都市のサービス産業がデジタル化を進めていて、主要都市ではスマホ一つあれば生活できる状況だし、逆に言えばスマホなしでは暮らせないくらいになっている。
ならば中国のデジタル産業の未来は順風満帆なのかというと、そうとも言い切れない。ひとつには「国家情報法」によって得られたデータを国家に「献納」しなくてはいけないこと。健全な「DATA Driven Economy」であるためには、その源泉であるデータは国家統制されるべきではない。現時点では火の手は上がっていないが、デジタル経済の発展に影を落とすと僕は思う。
もうひとつは、直近の話。なぜ中国のデジタル産業がサービス業に偏っているかと言うと、ここには国営企業を含む従来型企業の利権が少なかったから。デジタル産業が成長を目指して他の分野に出て行こうとすると、この利権と衝突することになる。その兆候が表れたのが、先日の「アント上場延期事件」。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66172480T11C20A1000000/
アリババグループで電子決済サービス「アリペイ」を運用するアントグループの上場に、習大人自身が待ったをかけたというものだ。きっかけはアリババ創設者ジャック・マーが、金融分野の規制緩和の遅れに苦言を呈したのが、政府(習?)批判にあたるとされたこと。小口決済などはともかく、より大きな金融分野に乗り出したいデジタル産業が規制緩和を求めるのは当然。これが上記利権と激突したのだろう。
https://nicky-akira.hatenadiary.com/entry/2019/08/26/070000
以前シンガポール出張で日本人ひとりだけだったという報告をしたが、その時の相手と言うのが「アリペイ」のCEOだった。その時の印象は「中国人だけど全くのコスモポリタンだ」というものでした。国家統制の圧力の中で闘っているだろうコスモポリタンたちに、海外からですがエールを送りたいです。