Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ミラーレスへの必然

 僕が子供だった頃、<一眼レフ>という35mmカメラが成長期だった。まあ、社会全体が成長期(僕も含めて)だったのだろう。それ以前はブローニー版、6×6~9版フィルムを使うものが主流だった。当時の報道写真は、2ツのレンズを縦に並べた<二眼レフ>というカメラで撮られたものが多い。

 

 映像はカメラの下のレンズを通して、フィルム面に届く。フィルムの前にシャッターがあって、写す時だけシャッターが開く。撮影者が対象を確認したり構図を決めたりするのには、上のレンズを使う。上から覗くスタイルなので、レンズからの入射光をミラーを使って上向きに変える。だから、二眼・レフレックスという呼称になる。

 

 ただこの形式だと、上下のレンズで微妙に映像が変わる。遠距離の対象なら問題はほぼないが、接写すればするほど上下のレンズの位置の違いが、映像に影響してしまう。そこでカメラ開発者が考えたのが、確認用のレンズも撮影用のレンズも同じ<一眼>にしてしまうこと。

 

    

 

・撮影者はミラーで上向きにされた映像を確認する

・OKと思ったらシャッターボタンを押す

・シャッターが開くと同じタイミングでミラーがハネ上がる

・映像は撮影者が直前に見ていたまま、フィルムに届く

 

 というわけ。ドイツ製のカメラが中心だった業界に、日本工学(現ニコン)が<Nikon-F>で殴り込みをかけ、世界を席巻した。当時の映画を見ると、カメラマンは大抵このカメラを首から下げている。大きい・重い・音やショックが大きいと揶揄されながらも<ニコンの一眼レフ>は愛用され続けた。音やショックは、ミラーをハネ上げることから生じるものだ。しかしそんな時代はついに終わる。

 

ニコン、一眼レフカメラの開発を停止 成長するミラーレスに注力:朝日新聞デジタル (asahi.com)

 

 ネット上では、愛好家の悲鳴が多く聞かれる。しかしこれは必然なのだ。デジタルカメラになれば、もともと撮影用レンズを通した映像が、電子化されてディスプレイに表示されている。シャッターボタンを押すのはシャッターを動作させるのではなく、どの時点の映像を記録するかを示す行為になっていた。僕自身はデジタルカメラにして以降は、ミラーレスしか買っていない。すでにミラーの機構は不要なアーキテクチャなのだ。

 

 ノスタルジーは理解しますが、写真を撮るというためならミラーレスというのは必然だと思いますよ。