主として「COVID-19」のせいだろうが全世界で自動車販売台数は減っていて、前年より11%あまり下げたトヨタグループが、世界一を奪回したという。じゃあもう一方の雄だったニッサンはどうかというと、三菱自動車・ルノーを合わせた全グループで23%余り下げたとニュースで聞いた。
「主犯」はレバノンに逃亡中のゴーン被告なのだが、ニッサン・ルノーを巡る過小報酬記載事件で共犯のケリー被告の裁判が進んでいる。その公判に元No.2のS氏らが証人として証言台に立っているとの記事があった。一時期もてはやされた「ゴーン改革」とは何だったのか、徐々に白日のもとにさらされるだろう。
「何を今さら」ゴーンと一緒に日産を食い物にした有力OB3人の弁解ぶり 経営責任を果たしたと言えるのか | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
この記事は事件そのものより、ニッサン社内のどろどろしたものを記しているようだが、その中心にいるのは上記のS氏。僕が最初に会ったのは10年ほど前、モノ言う経営者として有名だった、日本の大企業経営者は、一般に外では無口。せいぜいスタッフが用意したメモを読み上げるだけだったころだから、より目立った。
経団連などの公式会合でも「ゴーン改革」を説明し、その姿勢には多くの人が拍手したものだ。沖縄で行われたサイバーセキュリティの国際会議でも、英語のスピーチは立派だった。パネリストの一人として出た僕は、メモを読むのに精いっぱいだったのに。
ただ経産省が主催したあるクローズドな会議で一緒したとき、ちょっと「?」と思ったことがある。今後クルマなどのデジタル化が進むからDXをどうするかという議論の中で、
「ニッサンではまだ発表していないが、ある大手ソフトハウスを買収するつもりだ」
という発言があった。僕が違和感を持った理由は、インターネット経済の世界はミルフィーユのような多層構造での水平分業が普通。GAFAだって得意なところで世界一になり、その後周辺に手を広げる戦略だ。だからデジタル化されたクルマ経済(その中には製造だけでなく販売・運用・保守なども含まれる)の中で、自社がどういう位置を占めるかが重要だ。
それを製造業型垂直統合での発展という主張だったので「あ、この人分かっていないな」と思った。僕の感覚が正しかったかどうかは別にして、ニッサンの凋落はやはり人災だったのでしょうね。