ウクライナ戦争では、ドローンの活躍が著しい。戦場の神(砲兵)、陸戦の王(戦車)、海の支配者(ミサイル駆逐艦)すら、ドローンによって駆逐されている。ついには、溶融金属を振りまく「サラマンダー」のようなものまで実戦投入されている(*1)。
安価で、使い捨てにでき、打ちっぱなしで長距離攻撃ができる優れモノだが、問題点がないわけではない。ロシア軍もドローンを多用しているが、イラン製「シャヘド」と思われるドローンが、NATO加盟国ラトヴィアに落ちてきたとの報道(*2)があった。ルーマニア領空の侵犯も疑われている。
「シャヘド」はプログラムされた経路を通って目標に自律的に達するのだが、位置の確認はロシア製の衛星測位システムGLONASSで行う。これが妨害されたり、機体の中で誤認したりすると、あらぬ方向に飛んで行ってしまう。

今回の事件について、軍事ブロガーJSF氏は「ロシアがライセンス生産し始めたシャヘドには、不良が多いのではないか」と推測している。妨害されたか、不良なのかは別にして、これらの国で犠牲者が出たり重要施設に被害があったとしたら、事故だとしてもロシア対NATOの闘いになる可能性がある。
もうひとつ、これだけドローンが前面に出てくると、必然的に「対ドローン戦術」の立案が求められる。考えられるのは、
・近接してくる、比較的低速な飛行体に対しては、散弾銃
・大型で、中高度まで降りてくるなら、対空機関銃
だが、妨害電波で無力化するとか、網をかぶせて生け捕りにする案もある。妨害電波を出す装置の中でも、軽量小型なのがこれ。
ドローンを撃ち落す「弾なし銃」って? ウクライナ侵攻で戦い方一変 もはや“いたちごっこ”の開発競争 | 乗りものニュース (trafficnews.jp)
物理的に対処するより、電子的な手段で制御力を奪うのが、一番効率的に思えます。当然対電子兵器能力をドローンももつようになるでしょうから、まさにいたちごっこですね。「殺し合いともなれば、人類の発明の能力は無限」とUボートエースであるペーター・クレーマーは述べていますから(*3)。
*1:サラマンダーに気を付けろ! - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)